2020 Fiscal Year Research-status Report
ポリオ後症候群に対する経頭蓋直流電気刺激療法の効果に関する研究
Project/Area Number |
17K01494
|
Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
松嶋 康之 産業医科大学, 医学部, 准教授 (10412660)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐伯 覚 産業医科大学, 医学部, 教授 (20269070)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | ポストポリオ症候群 / 経頭蓋直流電気刺激療法 / 酸化ストレス / F波 |
Outline of Annual Research Achievements |
ポリオ罹患後数十年経ち新たに筋力低下や疲労が生じるポストポリオ症候群(PPS)が問題となっている。PPSの治療に有効なものはないが、近年、脳卒中などで有効性が確認されている経頭蓋直流電気刺激療法(tDCS)がPPSの疲労や睡眠の症状を改善させる可能性が報告された。我々はPPSの症状改善にtDCSが効果的か確認するために無作為化比較試験を実施している。 2020年度は1名に対して介入を実施し、2018年度から延べ14名に介入を実施した。無作為にtDCS群(8名)とsham群(6名)に振り分け、刺激は、陽極電極を左右の運動前野領域、陰極電極を左肩に設置し、tDCS 群では2mA・20分間、sham群では偽刺激を20分間、1日1回、合計10回行い、介入の前後、4週後に評価を行った。評価は、問診表による疲労度や睡眠、日常生活動作の評価、評価者による筋力測定、歩行の評価、上肢機能評価、酸化ストレスの指標や脳由来神経栄養因子(BDNF)を測定するための採血・採尿、F波測定のための神経伝導検査を実施した。本研究の概要と実現可能性について、第57回日本リハビリテーション医学会学術集会(2020年8月、京都)、第4回日本リハビリテーション医学会秋季学術集会(2020年11月、神戸)にて発表した。 主要評価項目とした疲労の多面的な評価法であるMultidimensional Fatigue Inventory日本語版の合計点が、tDCS群では介入前と比較し介入後に有意に低下していたことが確認できた。疲労のVisual analogue scale、ピッツバーグ睡眠質問票日本語版、血中BDNF値は、両群とも介入前後で有意差を認めなかったことを確認した。これらの結果から、PPSによる疲労に対してtDCSが有効であることが示唆され、より詳細な検討を行い、論文化する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の感染拡大のために、症例を増やすことが困難であった。
|
Strategy for Future Research Activity |
酸化ストレスの評価について、産業医科大学産業生態科学研究所職業性腫瘍学教室に依頼し、専門家の助言を得る。データ解析について、分担研究者と協力し、各評価項目についてtDCS群とsham群との比較を行い、ポストポリオ症候群に対するtDCSの効果を検討し、結果を考察しまとめる予定である。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の感染拡大のために症例が増えずに介入を実施することが困難で、研究の実施が遅れた。今後は、これまでに得たサンプルを用いて、遺伝子多型の検査や酸化ストレスの評価を行う予定である。結果をまとめ論文化するために英文校正を行う予定である。
|
Research Products
(2 results)