2020 Fiscal Year Research-status Report
リハビリテーション効果向上に資する感情調整と認知機能の相互メカニズムの解明
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17K01498
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
大星 有美 浜松医科大学, 光尖端医学教育研究センター, 特任助教 (70613975)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾内 康臣 浜松医科大学, 光尖端医学教育研究センター, 教授 (40436978)
田中 悟志 浜松医科大学, 医学部, 教授 (10545867)
武内 智康 浜松医科大学, 光尖端医学教育研究センター, 特任助教 (20754188)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 感情調整 / 脳賦活 / 前頭前野 / 認知機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究には34名の健常成人が参加し計33名での解析を行った。快・不快画像について感情状態の認知的再評価を介して感情喚起を増強あるいは減少させる視覚刺激を作成しその際の脳活動を機能的MRI及び機能的NIRSによって計測した。参加者に対する認知的再評価の教示には「想像する」または「観察する」という言語的手がかりを用いた。また、同参加者の安静時の脳代謝について核磁気共鳴スペクトロスコピーによって内側前頭前野のγアミノ酪酸(gamma-aminobutyric acid: GABA)濃度を測定した。 解析では、全脳で賦活が見られた領域についてあらかじめ関心領域を設定し、不快な状況の想像条件(NegReg条件)と快な状況の想像条件(PosReg条件)の活動値の差を各関心領域で求め、これらと内側前頭前野のGABA濃度の相関を調べた。また、GABA濃度と相関が示された領域におけるNegReg条件とPosReg条件の活動値の差と、主観的評価の差(NegReg条件とPosReg条件の評定値の差分)との相関を検討した。 結果として、PosReg条件と比較しNegReg条件では両側島前部、左縁上回、右上前頭回、両側小脳、内側前頭前野の活動が大きかった。また、NegReg条件からPosReg条件を差し引いた右小脳の活動と、内側前頭前野のGABA濃度との間に有意な正相関が認められた。さらには、同活動とNegReg条件とPosReg条件の評定値の差分との間に有意な負の相関が示された。これらの結果から不快画像に対してより不快な反応を増強する認知的再評価では、快画像に対してより快な反応を増強する時と比べて、島前部、内側前頭前野、小脳の活動が有意に高まることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実施環境の変更により使用する実験装置が制限されたため、研究内容を修正する必要が生じた。今年度は特に新型コロナウイルス感染症の流行により参加者の募集や研究結果の検討のための打ち合わせが難しい状況であったことが影響した。
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Strategy for Future Research Activity |
取得したデータのより詳細な解析と結果の公表が主となる。高齢者のデータについては、取得が難しい状況が続くと予想される。すでに取得している若年データを分析及び考察した結果をまとめていく予定である。
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Causes of Carryover |
研究参加者への謝金について未使用分が生じた。次年度、研究機関変更に伴い新たに必要となる物品の購入および結果の公表の際に必要となる費用に使用する。
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Research Products
(1 results)