2018 Fiscal Year Research-status Report
間質性肺疾患に対する新しい高流量酸素投与システムを利用した運動療法効果の検証
Project/Area Number |
17K01506
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
神津 玲 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 教授 (80423622)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
花田 匡利 長崎大学, 病院(医学系), 技術職員 (00596869)
田中 貴子 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 助教 (00612409)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 間質性肺疾患 / 高流量酸素投与システム / 運動療法 / 運動耐容能 / 呼吸困難 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は,間質性肺疾患患者に対して運動時に高流量鼻カニュラ(high-flow nasal cannula, HFNC)システムを用いた酸素投与が運動時の低酸素血症(exercise induced desaturation, EID)に及ぼす即時効果について検討した。病状が安定している重症間質性肺疾患患者(特発性肺線維症)4例を対象に,通常の酸素マスクと,HFNCシステム(加温加湿器搭載型フロージェネレータ AIRVO2)による酸素投与の2つの条件で,異なる日に同一の運動負荷を実施し,両者での運動中および後の呼吸・循環反応を比較,検討した。今回は,起立や立位での足踏みといった下肢の自動運動を運動様式として選択,酸素マスクによる投与条件と同様になるようHFNCシステムによる酸素濃度を50%に設定した。その際,流量は30L/minとして対象者の自覚症状にあわせて調整した。運動負荷実施中から終了後の回復まで,呼吸数,EID(安静時と運動中・後の酸素飽和度[SpO2]最低値の差),脈拍数,自覚症状(修正Borgスケールによる呼吸困難および下肢疲労感),および有害事象(運動中の自覚症状の増強,咳嗽の出現など)をモニターした。 その結果,酸素マスクによる酸素投与下での運動負荷では全例,SpO2が90%以上を保つことができず,EIDは平均で10%であったが,HFNCシステムによる条件では,1例が運動終了後にSpO2が88%まで低下したものの,EIDは平均で6%であった。また,運動負荷に伴う下肢疲労感は両条件で相違はなかったが,HFNCシステム使用の場合では,全例で呼吸困難が軽減する傾向にあった。呼吸数,脈拍数も2つの条件で差はなく,有害事象は皆無であった。HFNCシステムによる運動負荷時の酸素投与は,EIDの是正に有用であり,呼吸困難を軽減する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
運動負荷時に本システムを利用した酸素投与の即時効果については,検討できているが,一定期間の運動療法実施に併用した際の運動能力に及ぼす短期および長期維持効果についての検討は着手できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度は「HFNCを併用した運動療法の短期および長期効果の検討」を実施する。平成30年度の結果を活かし,研究参加の同意が得られた対象者に本システムを併用した運動療法を実施,運動療法実施後の短期および長期における効果を評価する。上記に関しては,関連学会にて成果報告を行えるように努めていく。
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Causes of Carryover |
(理由)論文執筆の校閲費,ならびにデータ解析に要する人件費に予算を使用できていないため。 (使用計画)上記,論文執筆に着手できるように研究を進めるとともに,計画に従って予算を執行する。
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