2019 Fiscal Year Research-status Report
A research of relate to head-eye movement cooperation and daily and/or learning activity in developmental disorder
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17K01514
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
仙石 泰仁 札幌医科大学, 保健医療学部, 教授 (10248669)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 眼球-頭部協調運動 / 発達障害 / 作業療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
視覚と伴に協調的に働く頭部運動が視覚情報を安定的に収集する上で重要であると考えられるが、生活動作や学習課題などより具体的な行為との関連からは十分な知見が得られていない。本研究ではJINS MEME ES_R(JINS MEME社製)を用いて、健常成人や発達障害を持つ対象者の視覚-頭部協調運動の特徴について検討した。20歳代の健常成人10名、自閉症スペクトラム症(ASD者)で不器用さを臨床症状で示す10歳代の3名に対して、机上での線引き課題(80cm)を行い、その際の眼球運動と頭部運動について解析を行った。分析は水平方向の眼電位と、頭部の回旋方向の角加速度とした。線引き課題の遂行時間には疾患や年齢との関連は認められなかった。眼球運動では眼電位における振幅が300µVを超える活動が生じた後に変動がなくなるパターン、60µV程度の活動が課題開始と最終段階で生じる2パターンが確認された。これらのパターンは健常成人もASD者でも認められていた。頭部の角加速度では、40°/sec2の緩やかな頭部運動が眼球運動開始から1~1.5sec後に1~2度生じるパターンと、線引き開始当初に眼球運動と同時に50°/sec2程度の緩やかな頭部運動が確認され、線引きが終わる段階にも60~80°/sec2の回旋運動が表れるパターンが健常成人では確認された。一方、ASD者では線引き開始当初に30°/sec2の回旋運動が生じ、その後も10°/sec2程度の小刻みな頭部の動きが眼球運動と同様に繰り返し生じており健常成人との異なったパターンを示していた。今回の結果ではASD児の特徴としては課題中に継続的に小刻みな眼球運動と頭部運動が生じていることであり、有効視野の狭さに起因していることが推測された。本研究からは眼球・頭部協調運動の評価から認知特性の可能性を分析できることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
測定機器の決定のための基礎的なデータ収集に時間を要してしまい、研究計画自体が遅れてしまっている。今年度はJINS MEME ES_Rで測定で安定したデータが得られる机上課題に絞りデータ収集を行った。今後は粗大運動におけるノイズ混入の対策を講じた上でデータ収集に取り掛かる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
健常者の眼球・頭部協調運動の測定を継続し行い、健常成人の動作種毎のパターンを明確化するとともに、発達障がい者のデータ収集も行い障害特性との関連について分析を進める。一方、粗大運動課題に関しては眼球・頭部協調運動の測定として現在で用いているJINS MEME ES_Rでは眼電位の測定結果が不安定なため、アイカメラによる測定も同時に行い、視線停留と動作種との関連についても分析を行う予定である。また、研究発表に関してはコロナ感染症のため発表予定の学会がすべて中止となってしまったため、論文投稿を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
眼球・頭部協調運動を適切に測定できる機器の構成の決定が遅れたため、これらの機器購入が年度内に行えなかった。次年度は決定した機器構成に関する購入を 進めていく予定である。
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