2020 Fiscal Year Research-status Report
腰痛予防・改善を目的とした体幹後傾運動が腰部血流動態変化に及ぼす影響
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17K01517
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Research Institution | Hokkaido Chitose College of Rehabilitation |
Principal Investigator |
隈元 庸夫 北海道千歳リハビリテーション大学, 健康科学部, 教授 (50708526)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 筋弾性率 / エラストグラフィー / 剪断弾性率 / shear modulus / 多裂筋 / 腰痛 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,体幹前傾保持に起因する姿勢性腰痛に対する予防,治療として立位での体幹伸展運動が髄核移動の点から推奨される。研究代表者らは多裂筋部の血流動態が体幹前傾位保持で減少,後傾運動で増加することから,血流動態改善も体幹伸展運動の効果に関与する可能性を報告した。しかし,反復した体幹伸展運動運動は椎間関節を刺激,その結果,不必要な多裂筋活動を引き起こし,阻血状態となる可能性が解剖学的知見から考えられる。 本研究の目的は,体幹伸展運動の適切な反復回数と適応を,近赤外線分光法,筋電図,そして筋弾性の検討に普及し始めた超音波せん断波イメージング技術を用いて血流動態の視点から検証し,姿勢性腰痛を予防,改善する筋生理学的根拠を確立することである。 今年度は,健常者を対象として腰部筋に筋疲労性腰痛を仮想した持久的筋疲労を与えた後の反復した体幹伸展運動の効果を超音波エラストグラフィで検証した結果,体幹伸展運動後では多裂筋剪断弾性率の改善がみられたことから,筋疲労性腰痛に対する体幹伸展運動による筋弛緩性の疼痛軽減が期待できる可能性を見出した。そして、体幹伸展運動の有無、持久的疲労の有無で比較した内容を国際雑誌に投稿し、査読審査を経て、論文受理に至った。 現在、腰痛を有するものを対象として、反復した体幹伸展運動による多裂筋部の血流動態と筋剪断弾性率を近赤外線分光法とエラストグラフィによって検証、その研究成果をまとめている段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウィルスにて、世界的パンデミックとなり、海外雑誌の投稿先であるBostonの編集部が1度目の査読後、半年間も反応がないままであった。投稿先に対応を催促するも世界的パンデミックにて先方は半年テレワークになり、特別なことがない限り対応できないとの返答であった。そのため、査読に対する修正論文の採択状況が未定のままで、実験手法、修正したデータ採取が必要か否かの判断ができない状況となっていた。統計手法、考察の展開、英文の精査を引き続き行なっていたところ、2020年3月末にようやく2度目の査読のやのとりが再開され、2020年6月に受理の目処がたった。しかし、その後、再び新型コロナウィルスにて先方の動きがとまり、2021年4月にようやく出版された。 これで研究・実験手法は確立したため、本研究手法で最終的なデータ採取を今年度は実施していく。
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Strategy for Future Research Activity |
世界的パンデミックにて、研究論文の受理・公表が遅れたが、研究方法論が確立されたため、海外論文として公表した手法で最終的なデータ採取を今年度は実施していく。ただし、新型コロナウィルス禍では人を対象としたデータ採取の効率性が低下している。進捗状況として当初予定よりも2年近く遅れているため、当初予定の被験者数より少ないデータでの結果の公表を予定している。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスにて、人を対象としたデータ採取ができず、補助事業期間再延長申請をしたため。
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