2018 Fiscal Year Research-status Report
リズム追随運動による脳可塑性を誘導するリハビリテーションプログラムの開発
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17K01520
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Research Institution | Kanagawa University of Human Services |
Principal Investigator |
菅原 憲一 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 教授 (90280198)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 智高 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 准教授 (00576382)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 運動学習 / 反復リズム運動 / 運動制御 / 歩行リズム学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はこれまで障害者のリハビリテーション上に必要な運動学習向上および中枢神経系の可塑性に関わる大脳運動野の興奮性動態の検証を中心として研究を進めてきた.その中で,一過性の興奮性上昇とリズム適応動作が重要であることを見出した.この研究的な知見からリズム変動に追随する動作を学習することで中枢神経系障害や整形外科疾患から生じる筋緊張異常と円滑な関節運動を改善できると着想した。このような流れの中で,リズム追随運動の中枢神経系の可塑的変化のなかにおける有効性およびその妥当性を検証する一連の研究を行っている. 平成29年度においては基礎的研究における主動作筋-拮抗筋の協調性改善にかかわる脳可塑的変化を誘導する制御機構の解明とリズムに着目した反復運動や多様なリズムに適応させることによる中枢神経系の運動制御動態を検証する試みを中心とした検討を行ってきた.平成30年度においてもその基礎的検討を継続していくことと,併せてこのような基礎的知見から明らかになった運動学習に働きかけるリズム追随運動によるリハビリテーションプログラムを開発し,臨床場面への応用展開を確立することを目的とした応用研究の準備を行っている. 平成30年度には平成29年度に施行した基礎的であるリズム変動に関わる中枢神経系の適応状態に対するパフォーマンスおよび電気生理学的な知見に関する学会発表および論文投稿を行った.さらに,リズム運動の根幹である随意運動に関わる随意性の強弱が運動遂行にどのように影響するのかを電気生理学的に確認し その結果を国際学会に発表を行った.以上の研究における継続を行うとともに,研究の最終段階である歩行におけるリズム変動が歩行能力を向上する結果となるのか,またどのようなリズム変動を学習させることが有効であるのかに関わる応用的研究を実施する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成30年度における基礎実験は着実にすでに実施されており,学会発表における公表を行う状況となった.また,各実験において次の実験にも取り組みがすでに行われている段階であるとともに,研究を構成するいくつかの研究課題においてはすでに論文への作成段階となっており順調に経過している. しかし,最後の段階である歩行リズム学習を行うための応用的研究において,その研究の被験者は高齢健常者および障害を有する方を対象とするため実験的な日取りの設定が困難であることから,多少の研究経過に遅延が生じている.しかし,十分な時間があることから,じっくり時間をかけ,被験者をリクルートし実験を行うことによって改善できるものであると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度においては基礎研究(運動制御および運動学習とリズムの関連性)の継続と歩行リズムに関する応用的研究の展開と歩行リズム変動に関わるリズム追随型の歩行リハビリテーションの総合的な検討に取り組む予定である.さらにここまでの基礎的検証を用いて臨床への応用を加味したリズム適応練習の開発に関わる示唆およびリズム適応練習に関わるハード,ソフト面に関わる開発を行うことが次の段階となる.そのため,基礎的検証の継続およびより深化した研究の実施および,臨床応用にむけた発展的課題の双方を実施していく方針である.
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Causes of Carryover |
実験計画における応用実験である歩行リズム変動の効果と有効なリズム運動練習の開発に関わる被験者のリクルートに時間がかかっていることから実験の進行が若干遅延していることに伴い、使用額の執行が遅れていることに由来する。
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