2019 Fiscal Year Research-status Report
経膣分娩と閉経が尿禁制機構に与えるリスクを実験形態学的観点から解析する
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17K01523
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| Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
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Principal Investigator |
津森 登志子 県立広島大学, 保健福祉学部(三原キャンパス), 教授 (30217377)
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| Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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| Keywords | 外尿道括約筋 / 腹圧性尿失禁 / 筋線維タイプ / 経膣分娩モデルラット / 多重蛍光免疫染色 / type2B線維 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
外尿道括約筋(external urethral sphincter, EUS)は、活動的尿道閉鎖に最も重要な役割を果たす特殊な横紋筋組織である。様々なモデル動物を用いてEUSの器質的特徴を明らかにすることは、腹圧性尿失禁の病態解明や適切な予防・治療法の開発に貢献する。我々はまずラットのEUSを筋線維タイプに着目して解析したところ、雌雄ともにType 1・Type 2A・Type 2B線維から構成されていたが、各筋線維タイプには明瞭な尿道部位局在が存在すること、さらに、筋層全体における筋線維タイプ構成割合には明瞭な性差が見られることなどから、これらのEUSの組織特性は尿道閉鎖における機能特性に直結することを示唆して報告した（Anat Rec, 2017）。
次に、経腟分娩モデルとしてラットに膣拡張処理を行い、4週間経過したEUSの筋線維タイプ構成を予備的に解析したところ、尿道近位部に局在するType 2B線維の構成割合が特異的にに減少していることを明らかにした(J Anat Sci Res, 2018)。さらに、膣拡張処理後のType 2B線維の経時的な変化を追跡するため、2018～2019年にかけて、処理3日・１・２・８週間後の時期について試料を採取し、多重蛍光免疫染色を行って取得した画像を元に解析を加えた。その結果、処理3日後すでにType 2B線維の萎縮や脱落が確認され、その構成割合も激減していた。この傾向は8週間経過した時点でも継続し、この時期を経てもType 2B線維は回復していないことが明らかになった。このことは、メスラットEUSを構成する速筋の中で特にType 2B線維が、膣拡張処理による虚血や物理的圧迫によって不可逆的な損傷を受ける可能性を示唆することとして注目された。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
経腟分娩モデルとして膣拡張処理を行なったラットにおいて、処理3日・１・２・８週間後の外尿道括約筋(external urethral sphincter, EUS)におけるType 1・Type 2A・Type 2B線維の構成割合に関する画像解析は終了し、統計解析も行なった。現在は、各時期におけるEUS全筋層における再生筋の出現割合を、embryonic-myosin heavy chainを再生筋マーカーとして作製した試料を用いて画像解析を継続中である。
さらに、膣拡張処理3日後に着目し、微細構造レベルで筋組織の状態を確認することで、損傷筋・再生筋の出現様態をより把握できると判断されたため、電子顕微鏡観察用試料を追加採取することにした。１個体分の試料を予備的に観察したところ、再生筋の特徴である中心核を持つ筋細胞が存在しているのを確認し、残りの試料の解析を継続中である。
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| Strategy for Future Research Activity |
まず、2019年度に採取した試料を用いて、膣拡張処理後3日・１・２・８週間後のEUSにおける再生筋の出現割合・出現部位の比較検討を終了させる。膣拡張処理が筋線維タイプ構成と再生筋出現に関して時間経過に伴いどのように変化するかを総合的にまとめた後、論文執筆を行って、2020年中にAnatomical Record（予定）に投稿することを最終目的とする。
さらに、膣拡張処理3日後のEUSにおける損傷筋・再生筋の出現様態を微細構造上レベルで観察した所見も合わせて全体の解析を終了させる。必要に応じて微細構造上レベルの検討結果も論文データに追加する。
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| Causes of Carryover |
モデル動物を使用した経膣分娩による外尿道括約筋への影響に関する蛍光組織化学的解析のうち、試料採取に関しては予定通り行うことができたが、全ての試料からの画像取得・統計解析を2019年度内に終えることができなかった。また、その試料解析の過程で、電子顕微鏡による筋の微細構造解析を追加したいと考え、膣拡張処理後3日目の試料を３個体分採取したが、まだ１個体しか観察できていない。よって、上記全ての作業と解析を行なうためにさらにもう１年間研究期間を延長し、研究遂行のための研究費を使用したい。その後、総括的な論文作成と投稿を行うため、また総括結果の学会発表を行うために研究費を使用する。
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Research Products
(1 results)
