2018 Fiscal Year Research-status Report
認知症高齢者に対する包括的生活支援プログラムの開発と検証:ランダム化比較試験
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17K01528
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Research Institution | Mejiro University |
Principal Investigator |
山田 孝 目白大学, 保健医療学部, 客員研究員 (70158202)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 法一 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 教授 (30333652)
會田 玉美 目白大学, 保健医療学部, 教授 (60406569)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 認知症 / ランダム化比較試験 / 人間作業モデル(MOHO) / 作業療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
全国の病院や介護老人保健施設などの作業療法士に参加を呼びかけ,担当する認知症高齢者の事例を送付してもらい,筆頭筆者が人間作業モデルを用いたかどうかを判定して作業実施群と非実施群に分けた.作業療法士には,対象者の基本情報,作業療法の実施内容,主要と副次的アウトカムの事前得点と事後得点を報告してもらい,2つのアウトカムの事前と事後得点の差の有意差を検討したコホート研究を発表した.その結果,全国の作業療法士48名から79事例が送られ,本研究の条件を満たした事例は作業実施群34事例,非実施群34事例であった.両群の差の比較では,作業実施群が改訂長谷川式簡易知能スケール(p=.000),認知症行動障害尺度(p=.035)に有意な改善を示した.人間作業モデル(MOHO)に基づき作業を実施した作業実施群の方が,主要アウトカムと副次的アウトカムともに有意に改善していたことから,作業実施群は作業を実施しなかった非実施群よりも,認知症の中核症状と行動・心理状態である周辺症状の改善に効果があると考えられた.しかし,ランダム化比較試験(RCT)を実施して,比較検討する必要性が改めて強調された. 現在まで2年間以上に渡ってRCTを実施してきた.昨年度では,MOHOを中心に実施する実験群33名とMOHO以外の方法を中心に実施する統制群33名であったが,本年度末には実験群44名,統制群45名,合計89名になった.本研究は予備的研究から必要標本数を各群47名になっており,目標とする人数に近づいてきた.2019年度には目標を達成し,論文を投稿できると思われる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
データ収集者が北海道,秋田県,千葉県,和歌山県の作業療法士であったが,今年度は鹿児島県と宮崎県の作業療法士が加わったことが大きい要因である.そのため,2017年度には,実験群33名,統制群33名,合計66名だったのが,2018年の1年間で実験群44名,統制群45名,合計89名になり,必要標本数各群47名に近づいてきた.
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Strategy for Future Research Activity |
2017年度には,実験群33名,統制群33名,合計66名だったのが,2018年度の1年間で実験群44名,統制群45名,合計89名になり,必要標本数各群47名に近づいてきた.中間解析の結果は以下の通りである.ランダム割付けされたのは実験群38名,統制群36名,合計74名であった.中断者は8名で,介入を受け,解析された対象者は66名であった.両群のベースラインに有意差はなかった.両群のアウトカムの変化量の差の比較では,統制群に比べて,実験群はHDS-Rがp=0.006, DBD-13がp=0.007と改善を示したが,有意差はなかった.両群のアウトカムの変化量は0から正(DBD-13 は負)数であった.結論は,事前の両群は概ね均一な状態であった.中間解析の結果,MOHOを用いた作業中心の介入は,機能訓練を中心とした介入に比べて,有意な改善を認めなかったが,両群のアウトカムの変化量は0から正(DBD-13 は負)数をとって,認知症や作業機能の維持や改善を認めた.従って,本試験の有効性と安全性は担保され,継続に意義はあると判断した. 2019年度は本研究の最終年度であり,必要標本数47名を達成し,論文を作成し公表したいと考えている.
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Causes of Carryover |
2018年度は目白大学を定年退職し,一般社団法人を立ち上げ,認知症の人間作業モデルの研究に集中したために,使用額が低下した.2019年度は活動を活発にして,取り組んで行きたい.
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Research Products
(6 results)