2018 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of support function in stance phase and control mechanism in swing phase during gait with lower limb orthosis with trunk belt
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17K01534
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Research Institution | Niigata University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
相馬 俊雄 新潟医療福祉大学, リハビリテーション学部, 教授 (40339974)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大山 峰生 新潟医療福祉大学, リハビリテーション学部, 教授 (10367427)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 下肢装具 / 歩行 / 筋電図 / 関節モーメント / 体幹ベルト / 脳卒中 / 重心 / 身体動揺 |
Outline of Annual Research Achievements |
(社)日本理学療法士協会が報告した脳卒中診療ガイドライン(2011年)では,装具療法についてエビデンスの高い研究が多数紹介されている.その中で,新しい装具である体幹ベルト付下肢装具(CVAid)は,高い治療効果(推奨グレードA,エビデンスレベル2)があると紹介されている.先行研究では,脳卒中片麻痺者を対象にCVAid装着歩行時のエネルギー消費量の計測を行っているが,装具の機能や特性については言及していない.このようにCVAidに関する先行研究が希少な中で,ガイドラインでは,エビデンスが高く紹介されているのが実情である.CVAidは,脳卒中片麻痺者の歩行速度を向上させるために開発された装具である.CVAidの特徴は,弾性の体幹ベルトとストラップで下肢を吊り上げており,ベルトの弾性を利用して,麻痺側下肢の振り出しを補助している.一般的に脳卒中片麻痺者が使用する短下肢装具(AFO)は,プラスチック製AFOが利用されている.プラスチック製AFOは,歩行時に亢進する麻痺側下肢の筋緊張(痙性)に対して,足関節が底背屈0度に固定されるため,立脚相の膝折れ防止には役立っているが,振り出し時に足趾が床面に接触してしまい転倒のリスクを伴ってしまう.しかし,CVAidは,立脚相における体重の支持機能だけでなく,弾性ベルトを利用した遊脚相の振り出しにも効果を発揮できる画期的な装具である.そこで,CVAidの立脚相と遊脚相の機能を力学的手法で明らかにすることができれば,今後,CVAidの原理を応用した様々な装具が開発され,脳卒中片麻痺者の歩行能力向上に寄与できると考えた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は,健常成人を対象にして三次元動作解析装置(VICON Nexus:本学所有)と体幹2点歩行動揺計(今回申請)を使用して,CVAidを装着した歩行時における身体特性を力学的手法で明らかにすることができた.CVAidは,体幹ベルトとストラップの張力の大きさで,歩行時の遊脚相の振り出しの速度が変化する.つまり,体幹ベルトの張力の設定が,CVAidの機能発揮に重要なポイントになる.そのため,CVAid装着時に体幹ベルトの張力を各被験者で統一しなければならない.本研究を実施するために,はじめに体幹ベルトおよび下肢のストラップの弾性張力を計測するテンションメーター(今回申請)の製作に着手し完成した. 次年度は,脳卒中片麻痺者(10名)を対象にして三次元動作解析装置と体幹2点歩行動揺計を使用して,CVAidを装着した歩行時における身体特性を力学的手法で明らかにすることができた.特に脳卒中片麻痺者では,麻痺の程度により歩行能力が異なるため,体幹ベルトの張力設定を変化させながら,最適な張力値の模索を行った.体幹2点歩行動揺計は,体幹部とCVAid装着側下肢に装着し,遊脚相の下肢の振り出しの加速度を計測する.これにより,力学的側面からCVAidの遊脚相の下肢の振り出しの制御機能について明らかにすることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は,筋電図装置(本学所有)を使用して,CVAidを装着した歩行時における下肢筋の筋活動を筋電図学的手法で明らかにする予定である.これまでに我々は,歩行中の下肢の筋電図解析を行ってきた(若手研究B:2005-2007年:課題番号17700462)(相馬:日本義肢装具学会誌:2006).健常者の歩行の遊脚相では,下肢を振り子のように振り出すため,下肢の筋活動はみられない.しかし,脳卒中片麻痺者は,麻痺の重症度により麻痺側下肢の筋緊張が変化する. 特に筋緊張が亢進している場合は,大腿四頭筋,下腿三頭筋などの抗重力筋の筋活動が増加し,振り出しが困難となる.そこでCVAidを装着することで振り出しが補助されるため,大腿四頭筋,下腿三頭筋などの筋活動が軽減されると考えられる.この下肢筋の筋活動の変化について筋電図装置(本学所有)を用いて計測する予定である.この結果からCVAidの装着が,下肢筋の筋活動の減少(抑制)につながり,脳卒中片麻痺者の歩行能力を向上させると考えられる.
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Research Products
(1 results)