2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K01536
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Research Institution | Tokoha University |
Principal Investigator |
磯貝 香 常葉大学, 保健医療学部, 教授 (00549496)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 筋硬結 / 触診技術 / 練習効果 / 筋硬結触診シミュレータ |
Outline of Annual Research Achievements |
我々が開発した筋触診技術練習用模型(筋硬結触診シミュレータ)を用いて練習することによる触診技術の向上効果を検証した.筋硬結触診シミュレータを用いて練習する群(練習群)と練習しない群(コントロール群)とを設定し,練習前後の筋硬結モデル同定正答率を求めた.その結果,練習群の練習前後の正答率は29.3%と69.3%であり,両者の間に有意差がみられた.一方,コントロール群においては練習前後の正答率間に有意差がみられなかった.これにより,筋硬結触診シミュレータが触診技術向上に役立つことが示唆された.また,被験者の内観報告から,触診技術を向上させるためには,筋硬結の触察感や効果的な探索方法を知ることの重要性が示唆された.この内容について,第52回日本理学療法学術大会にて発表した.種々な病態における触診技術練習用のモデルが多く市販されているが,その練習効果についての報告は見当たらない.本成果は,これらのモデルの有用性を示唆したという点でも意義のあるものである. 筋硬結触診シミュレータと臨床で遭遇する筋硬結との類似性を検証した.5種類の硬さの異なる筋硬結モデルを含む筋硬結触診シミュレータを製作し,熟練臨床家に臨床で遭遇する機会の多い筋硬結と触察感が似ているシミュレータを選択してもらった.その結果,慢性期の筋硬結に似たシミュレータについて,一定の傾向がみられた.一方で,臨床で遭遇する筋硬結の状態は様々であること,熟練臨床家間においても筋硬結の触察感に大きな違いが存在することが判明した.今後の研究を進めるにあたり,筋硬結の病態に関する詳細な条件付けの必要性が浮き彫りになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度の計画に従って,臨床家による筋硬結触診シミュレータの評価を行った.触察分布力ベクトル計測システムの構築についてはやや準備に時間を要しているが,一方で平成30年度の計画である熟練臨床家の触診技能分析に既に着手している.
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Strategy for Future Research Activity |
筋硬結触診シミュレータにマーカーを内包させ,これを下方から撮影する高速度カメラとデータ処理を行うコンピュータを連結させることで,触察分布力ベクトル計測システムを構築する.そのために必要なソフト開発と,触察分布力ベクトルをリアルタイムにフィードバックする方法の検討を並行して行う. 臨床家の筋硬結触診技術の技能分析を進める.臨床家が筋硬結を触察する様子をビデオカメラで録画するとともに触診動作の特徴を言語化し記録する.そのビデオ画像を触察者とともに繰り返し確認しながら,触診する工程を準備期,圧迫期,探索期,同定期,確認期などに分解する.そして,どのタイミングで触察者が何をしようとしているのか,どのように触れようとしているのか,何に気を付けているのか,またその時にどのように感じたか,それに対しどのように対応したかなどの各期における触診のコツを明らかにしていく.現在,触診のコツを抽出するために必要な質問内容を検討中である. 触察分布力ベクトル計測システムを用いて,熟練臨床家の触診技術の定量化を進める.これと,熟練臨床家の技能分析結果とを照らし合わせ,触診のコツと触診時に加えられた力との関連を明らかにする.その結果をもとに,効果的な触察技術教育方法の確立を目指す.
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Causes of Carryover |
触察分布力ベクトル計測システムの構築に必要なカメラや力覚センサが未購入であるため.今後機種を選定し購入する計画である.
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Research Products
(1 results)