2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K01536
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Research Institution | Tokoha University |
Principal Investigator |
磯貝 香 常葉大学, 保健医療学部, 教授 (00549496)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 筋硬結 / 触診技術 / 練習効果 / 筋硬結触診シミュレータ |
Outline of Annual Research Achievements |
熟練臨床家の触診技能を分析するにあたって,分析すべき動作の候補を抽出し,その動作を定義づける必要がある.その抽出すべき動作とは,熟練者と非熟練者との間で技能的な差が生じやすい動作,すなわち熟練者のみがもつ技能的なコツであると考えられる.しかし,コツというものは熟練者自身が気付いていない動作であったり,また言葉で説明できない暗黙知であったりすることが多く,単純な聞き取り調査でそれらを抽出・言語化することは難しい.そこで,訓練用技能分析法(Skill Analysis for Training:SAT)を用いて熟練臨床家の触診動作の特徴を探り,その後Steps for Coding and Theorization(SCAT)を用いてその特徴の言語化を試みた. SATを参考にして,熟練臨床家に我々が開発した筋硬結触診シミュレータを生体の筋硬結を触診するつもりで触察してもらい,その様子をビデオカメラで撮影した.そのビデオ画像を触察者とともに繰り返し確認しながら,どのタイミングで触察者が何をしようとしているのか,どのように触れようとしているのか,また何に気を付けているのかなどについて質問し,それに対する回答を録音した.触察者の音声データをすべてテキスト化し,SCATに則って,テキストデータの中の着目すべき語句の書き出し,それを言いかえるためのデータ外の語句の記入,それを説明するための語句の記入,そこから浮き上がるテーマ・構成概念の記入の4 ステップのコーディングを行った.そして,記入されたテーマ・構成概念を紡いでストーリーラインを記述し,そこから重要な部分を抜き出すことで理論記述を行った.その結果,熟練臨床家は,手先だけを利用するのではなく全身の構えや重心の移動を重要視していること,対象物の形や大きさ,硬さなどの知りたい情報に応じて力の加え方を変化させていることなどが明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成30年度以降の計画に則って熟練臨床家の触診技能の質的研究を行った.しかし,触察分布力ベクトル計測システムの構築に手間取っている.現在その実現可能性を協議しつつ慎重に進めている状況であり,触診技術の定量化に至っていない.結果として,触診技術の標準化及び効果的な教育方法の開発に着手できていない.
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Strategy for Future Research Activity |
熟練臨床家の触診技術に関する質的研究で,全身の構えや重心の移動が重要であることが明らかとなった.したがって,触察分布力ベクトルの計測と同時に触察者の姿勢や動きに加え重心の移動をも評価できるシステムを構築する必要が出てきた.しかし,触察分布力ベクトル計測システムの構築が遅れているため,当面その実現と触診技術の定量化及びその評価・分析方法の開発に注力する.
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Causes of Carryover |
触察分布力ベクトル計測システムの構築に遅れを生じている.今後,適切なシステムに必要なカメラや力覚センサについて協議し.機種を選定及び購入する計画である.
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Research Products
(1 results)