2018 Fiscal Year Research-status Report
A study of tactile map combined with character string and pictogram
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17K01556
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
水戸 和幸 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (90353325)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | タクタイル文字 / 触知用ピクトグラム |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、「(a)3Dプリンタで作製したタクタイル文字の触識別特性」、「(b) 触知向けピクトグラムのデザインに関する研究」の2テーマで研究を行った。 (a)では、造形物の表面の粗さが触識別におよぼす影響について検討するために、近年低価格化の進む3Dプリンタの造形方式がタクタイル文字の触識別特性に及ぼす影響について調べた。造形方式は、光造形方式(素材はレジン)と熱溶解積層方式(素材はPLA FilamentとFlexible Filament)、とした。タクタイル文字は、要素数2~7のカタカナ18文字(各要素3文字)とし、文字サイズは10mm×10mm、文字高さは0.6mmとし、22~27歳のアイマスクを着用した晴眼者10名を対象に行った。結果、正答率は造形方式による差は無かった(平均80%)。一方、識別時間は光造形方式で顕著に短くなり、分かりやすさ、および確信度は顕著に高い値を示し、熱溶解積層方式による造形物表面の細かい凹凸が触識別に影響を与えるものと考えられた。 (b)では、昨年度の研究成果より、触識別しやすい図形の特徴である「1つのパーツが大きく構成要素数が少ない」ピクトグラムのデザインを検討し、検証実験を行った。PIAFにて縦横120mm、高さ1mmで触知ピクトグラムを作成し、アイマスクを着用した20代の晴眼者8名を対象に触識別実験を行った。新たにデザインしたピクトグラムによる学習時間および識別時間は短くなり、分かりやすさも増加する傾向となった。特に、エレベータやトイレなどの人物を含むピクトグラムにおいて要素数の削減、および簡略化が効果的であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、視覚障害者向け施設案内図である触知案内図において、カタカナを凸化した触知文字列および視覚的記号であるピクトグラムを触知向けにデザインした触知ピクトグラムを融合した触知案内図の提案と有効性の検証である。平成30年度の研究計画は、「①触知ピクトグラムの触識別特性と触知向けピクトグラムの提案」と「②触知案内図における触知文字列と触知ピクトグラムの利用可能性」の2課題である。①に関しては、「(b) 触知向けピクトグラムのデザインに関する研究」より、触知向けピクトグラムの提案し、その有効性を示すことができた。しかし、②に関しては、触知文字列および触知ピクトグラムを触知案内図上に配置した探索実験まで行うことができなかった。原因は、昨年度からの課題として、造形物の表面の粗さが触識別におよぼす影響について検討する必要性があったためである。同課題については、「(a)3Dプリンタで作製したタクタイル文字の触識別特性」により問題解決している。また、②は、H30~H31年度に達成することを目標としていることから、現時点での進捗状況は順調と考える。以上より、「(2)おおむね順調に進展している」と判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの状況から今後においても計画通り研究を推進する。 しかしながら、触知文字におけるフォントが触識別に及ぼす影響について検討する必要がある。特に、濁点半濁点の触知文字に対して、識別しにくいとの意見があることから、UD(ユニバーサルデザイン)フォントなど、従来のゴシック体以外のフォントでの触知文字の触識別特性を明らかにしながら、研究を推進していく必要があると考える。
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