2018 Fiscal Year Research-status Report
微細加工を用いて指先同様に柔かく高感度・高分解能をもつ新規触覚センサは実現可能か
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17K01565
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
幹 浩文 和歌山大学, システム工学部, 講師 (20403363)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土谷 茂樹 和歌山大学, システム工学部, 教授 (30283956)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 触覚センサ / 圧電PVDF フィルム / 人工皮膚センサ / MEMS / パターンエッチング / アレイセンサ / 医療応用機器 / 異方性エッチング |
Outline of Annual Research Achievements |
柔軟な圧電PVDFフィルム上に直接マイクロ構造体を高密度にアレイ配置することによって人間の指先と同等レベルの感度と分解能をもつ柔らかい人工皮膚触覚センサの創出を目指して、構造解析をさらに進めながら加工プロセス技術の開発を行った。解析結果,応力分布からみると110μm厚のPVDF基板においてのセンシング構造体のエッチング深さは,アレイ素子間の間隔(ピッチ)が100μm以上では,50μmくらいが適切でそれ以上に深くエッチングする必要はないと思われる。ピッチが70μmでは,深さ50μmまではエッチング深さによるクローストークの軽減効果が顕著に表れるがそれ以降では効果が緩やかで80μm以上(但し,PVDF基板厚さ以下)ではさらなるエッチング深さによる効果は期待できない。そのほか,ピッチ70μmにおいては,エッチング深さ45μmで「エッチングなし・ピッチ100μm」に,また,エッチング深さ80μm以上で「エッチングなし・ピッチ150μm」のアレイセンサに対応する結果となった。アレイピッチが同じでもセンシング素子面積(あるいは素子ごとの電極面積)が大きいほどクローストークは起こりやすいが,エッチング深さ50μm以上では素子の面積差による影響は小さくなる。加工プロセスの要素技術の研究結果,ウェットエッチングにおいてPVDFは明らかに異方性エッチング特性を示すことを初めて発見でき,圧電PVDFによる新しいセンサ方式とマイクロデバイスの新しい構造の提案が可能であることが分かった。微細電極パターンの界面密着性においてはライトウェットエッチングや酸素プラズマ処理などを通じての改善効果を検証している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究は若干遅れ気味の要素課題もあるが,おおむね順調の進展していると考える。その理由は,予定した課題の解明にそれぞれ進展があり,ウェットエッチング技術の検討ではエッチング特性に関するPVDFの想定外の新しい発見もあり,研究をさらに進化させることが可能になっている。横方向と縦方向の触感情報を従来より充実に反映できる高度の触覚センサの実現可能性をもつことが分かった。界面関係で課題が残ってあるが課題解決の方向性はつかんでいるのと加工プロセスの要素技術において知見の蓄積ができている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は,人間の指先の感度と空間分解能に匹敵する皮膚のような柔軟性マイクロ触覚センサの創出を目標としている。今後の研究では,界面関係など残り課題により精力的に取り組むと同時に,今回の研究を通じて発見したPVDFの異方性エッチング特性を生かしたより高度な機能が期待できる新しいセンサ構造を検討し,解析・実験手法を用いてその機能性・有効性と具現化の検証を行う。また,これまでの知見を活かしながら実デバイスに必要なさらなる課題抽出を行い,実験検証による改良を重ねて安定した加工プロセス技術の確立と目標の新規触覚センサの実現を目指す。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は,消耗品などの当初の見積額と実際購入できた物品値段との差額によるもので、次年度に有機溶媒やベンコットなどのプロセス用消耗品に利用する予定である。
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Research Products
(1 results)