2017 Fiscal Year Research-status Report
近距離通信ネットワークによる24時間体制の服薬サポートシステムの開発
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17K01576
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Research Institution | Tohoku Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
星 憲司 東北医科薬科大学, 薬学部, 講師 (20405913)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 服薬アドヒアランス / 医療用デバイス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、24時間体制の服薬サポートシステムを実現するため、従来の分散型服薬モニタリングシステムを改良して、家庭での継続的な服薬治療に適用できるような実用的なシステムを構築し評価することである。今年度はこの目的を達成するため、専用の医薬品パッケージを使わずに、国内で一般に使用されている PTP シートや分包紙を用いて医薬品を交付する場合でも患者の服薬行動を検出できるように、医薬品の包装部分と一体化した開封センサーの開発・改良を行った。 これまで学生を被験者として行ってきた実験では、被験者が医薬品を携帯して外出した時に、振動や曲げによってセンサーが断線して誤検出が発生した事例があり、センサーの物理的な安定性を向上させる必要があった。また、従来の研究で開封センサーを作成するために使用した銀ナノ粒子を含む導電性インキは、印刷できる対象がインキの吸収層を持つ専用の用紙に限られているため、市販の分包紙に適用することは困難だった。 そこで、導電性インキの代わりに、表面に樹脂の保護層を持つアルミニウム蒸着箔を圧着することで、物理的な安定性が高く、かつ幅広い対象に適用できる開封センサーを開発した。また、保護層を維持したままで、開発したセンサーの断線を電気的に検出する手法を開発した。現在、開発した開封センサーを分包などの実際に使用されている医薬品の包装部分に圧着して電気的な性質を測定し、最適な構造と検出方式を決めるための実験を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画では、本年度は実際の医薬品パッケージに適用できる開封センサーを開発し、近距離無線モジュールを内蔵したマイクロコントローラーを接続できるように電子回路を改良する予定であった。今回開発したアルミニウム蒸着箔を使用したセンサーが幅広い対象に利用できることが分かったため、開封センサーの開発についてはおおむね目標が達成できたと言える。また、このセンサーが利用できるように、マイクロコントローラに接続する電子回路の改良を行ったが、その結果、電源の変更や回路への大幅な改良を行わなくても、数ヶ月程度の動作が可能であると見込まれるため、電子回路の改良についてもおおむね目標が達成できたと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、研究計画に従って、24時間の服薬サポートを実現するためのシステムの開発を行う。本システムは (1)患者の服薬情報を、近距離無線通信ネットワークを通して通知するデバイスのファームウェア、(2)デバイスからの服薬情報を受信して、服薬状況を医療機関サーバに通知するパーソナルサーバ、(3) パーソナルサーバからの情報を集約し、データベースへの記録/服薬状況の可視化/患者へのフィードバックを行う医療機関側のサーバ、の3種類のソフトウェアが連携して動作する。(1) のファームウェアはおおむね初年度に開発できたため、今後は (2)と(3) のソフトウェアの開発を進める。その際、服薬状況を患者自身が確認できるようにして、服薬ミスが発生した時には、リアルタイムに患者に適切なメッセージを送って服薬を促す機能を実現する。 システムの開発修了後には、システムを実際に一定期間実験的に運用し、問題点を抽出して改善を行う。最終年度には、家庭での継続的な服薬治療に近い条件で実証実験を行い、開発したシステムの評価を行う予定である。
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Causes of Carryover |
研究計画では、本年度は改良した医薬品パッケージの開封センサーに適合するように電子回路を改良し、その特性を評価する予定だった。しかし、従来の研究とほぼ同じ構成の電子回路で開封を検出できることがわかったため、評価用の測定機器は不要となった。 一方、開封センサーにアルミニウム蒸着箔を使用したことで、その電気的性質を測定する必要が生じた。次年度使用額は、この測定のための部品と計測機器の購入に使用する予定である。
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