2019 Fiscal Year Research-status Report
短下肢装具の背屈制動の有無が回復期片麻痺者の歩行に及ぼす影響
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17K01577
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
山本 澄子 国際医療福祉大学, 医療福祉学研究科, 教授 (30302102)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 脳卒中 / 下肢装具 / 歩行分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳卒中後後遺症による片麻痺者の歩行補助に使用される短下肢装具(AFO)について、AFOの足関節の背屈方向への特性が片麻痺者の歩行に及ぼす影響を知ることを目的とした。対象はAFOを使用した理学療法士による歩行練習を実施しているリハビリテーション病院に入院中の回復期片麻痺者39名である。足継手が背屈方向に自由に動くAFOとして油圧ダンパーを使用したAFO(油圧AFO)を使用し、背屈方向の動きに対してブレーキをかけるAFOとして継手無しの靴ベラ式プラスティックAFO(以下、シューホン)を使用した。3次元動作分析装置を使用して1回目の計測でAFOなし歩行を計測し、その後、対象者を油圧AFO群とシューホン群に分類した。それぞれのAFOを使用した2週間の理学療法士による歩行練習後に再度AFOを使用した歩行を計測して、AFOなし歩行との比較を行い、結果を群間で比較した。 油圧AFO群20名、シューホン群19名であり、歩行分析の結果により2群間の違いがあったのは、麻痺側から非麻痺側の歩幅、麻痺側単脚支持期の下腿前傾角度変化量、麻痺側足関節の負のパワー最大値であり、いずれも油圧AFO群で大きかった。これらの結果より、足継手のブレーキ機構により歩行時の足関節の背屈方向の動きにブレーキをかけるAFOは、麻痺側立脚期の下肢のスムーズな前方移動を阻害して、足関節底屈筋の伸長を妨げ、歩幅の増加を阻害する可能性があることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究対象施設に入院中の片麻痺者で研究の選定条件に合致する対象者の選定に時間がかかり、2群の比較を行える人数の計測の終了までに時間がかかった。そのため、結果をまとめるのに時間がかかり、現在、論文を執筆して英文誌に投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究結果をまとめて2020年4月にClinical Biomechanics誌に投稿した。現在、査読結果待ちの状態であるが、査読者のコメントに対する論文修正を行っていく。また、研究結果を国内外の学会(日本義肢装具学会、国際義肢装具連盟(ISPO)学術大会)などで発表するための準備を行う。
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Causes of Carryover |
現在、英文誌に論文投稿中であるため、掲載までに必要な英文校閲代金、学会発表に必要な費用の支出を予定している。
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