2018 Fiscal Year Research-status Report
シニアカー自動運転化を目指した生活道路環境マップの仕様の研究
Project/Area Number |
17K01581
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
廣瀬 敏也 芝浦工業大学, 工学部, 准教授 (40419114)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊東 敏夫 芝浦工業大学, システム理工学部, 教授 (70707695)
大倉 典子 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (00317364)
平川 豊 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (90407221)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 自動運転 / 高齢者 / 障がい者 / シニアカー / 環境マップ |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、自動車の自動運転化が検討され、ドライバの操作が一切不要な完全な自動運転の実用化が期待されている。しかし、自動運転の実用化は高速道路で走行する自動車から始まって一般道へと展開され、最も自動運転が必要とされる高齢者や障がい者が使用する住宅街では最後になると予想される。高齢者の住宅街での移動はシニアカーを利用するため、自動車で実用化される高価な技術をそのままシニアカーに適用することは困難であり、また、自動運転に必要な認識・制御技術や環境マップは、道路交通が前提となった仕様のため、より複雑な生活道路での自動運転に不十分なものになる。そこで本研究は、生活道路でシニアカーを安価に自動運転化する自動運転セットボックスを開発提案し、高齢者や障がい者の自動運転利用の早期化を目指す。 2018年度は、(1)自動運転の機能を実装するために交通参加者の情報を認識し、制御を行うアルゴリズムの開発、(2)シニアカーの自動運転に資する環境マップのデータフォーマットの策定を実施した。(1)の制御アルゴリズムの構築では、シニアカーのステアリングやレバーを制御するためのモーターを制御し、室内環境下でシニアカーの自律走行が実施可能なことを確認し、合理的な制御アルゴリズムの構築を行っている。(2)の環境マップのデータフォーマットの策定では、自動走行の生活環境モデルコース(東京都江東区豊洲地区)で、自動運転セットボックスに搭載する360°全周囲カメラ、レーザレーダに加えて、自己位置の推定精度を向上させるためにエンコーダーを搭載し、データを一括に管理できるシステムを構築した。このシステムによりシニアカーに搭載している環境マップシステムが推定する自己位置の精度について、設定したランドマークからの距離を計測することで検証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度は、(1)自動運転の機能を実装するために交通参加者の情報を認識し、制御を行うアルゴリズムの開発、(2)シニアカーの自動運転に資する環境マップのデータフォーマットの策定を実施した。(1)の制御アルゴリズムの構築では、シニアカーのステアリングやレバーを制御するためのモーターを制御し、室内環境下でシニアカーの自律走行が実施可能なことを確認し、合理的な制御アルゴリズムの構築を行っている。(2)の環境マップのデータフォーマットの策定では、自動走行の生活環境モデルコース(東京都江東区豊洲地区)で、自動運転セットボックスに搭載する360°全周囲カメラ、レーザレーダに加えて、自己位置の推定精度を向上させるためにGPSによるシニアカーの位置座標、エンコーダーによる走行距離データを計測した。2017年度の検討においてもこれらのデータを計測しているが、それぞれ独立のシステムにて計測を行っていることからデータを整合させることに多くの時間を要していた。そこで2018年度は、これらのシステムを一括に保存・管理できるシステムを環境マップシステム内に構築し、これらのデータと環境マップデータを整合させて、逐次環境マップデータを評価できるシステムを構築した。これにより、シニアカーに搭載している環境マップシステムが推定する自己位置の精度を様々な条件下で検証することが可能となり、実際に自己位置推定の精度検証を行った。また、認識制御アルゴリズムや操作表示系との整合性を検証するためのドライビングシミュレータ環境の整備も合わせて実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度には、17年度および18年度に構築したシニアカーを用いて、自動運転の機能を実装するために制御アルゴリズムの高度化および自動運転機能を実現するための環境マップの高度化に関する開発を行う。制御アルゴリズムについては、18年度に構築した生活環境モデルコース(東京都江東区豊洲地区)での環境マップのデータをもとにシニアカーの自動運転機能を実現するために合理的な制御アルゴリズムを構築する。また、自動運転機能を実現するためにノイズ除去の技術を取り入れることによるマップの精度向上に関する検討を実施し、高精度な制御アルゴリズムの実現に資するものにしたいと考えている。その上で高精度に制御するための環境マップの構築・評価手法に関する検討を行い、環境マップ構築に必要な要素を体系的に整理していきたいと考えている。 シニアカーの利用者は、利用者の生体情報を取得し、状態推定を行うための機能を搭載することを目指しており、それらを加味したシニアカーの操作表示のHMIの開発を行う。18年度に構築したシステムにおいて、このHMIの機能は搭載しているが、より実用的に活用できるHMIについて開発を進める予定である。また、本シニアカーには、通信を活用したコミュニケーション機能を搭載する予定であり、すでに車車間通信システム等の研究にて通信機能に関する研究の成果を活用し、19年度はこの機能にて走行情報(走行位置、速度など)と利用者情報(生体情報)をシステム間で通信させることを目指している。
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Causes of Carryover |
17年度には、カメラ、レーザレーダ、GPS、エンコーダーのデータを計測して環境マップの構築を行ったが、それぞれのデータを独立に計測し、計測後にオフラインにてデータの時系列同期を行い、評価を実施していた。この作業には、多くの時間を有することから18年度は、これらのデータを一括に保存し、環境マップ構築時にこれらのデータも同期させて扱うことができるシステムの構築を行った。これにより、システム構築に時間を要したために当初計画していた計測日数よりも少ない日数での計測となった。19年度は、18年度の予算と合わせた上で高精度な環境マップの構築に必要なデータ計測を実施していきたいと考えている。
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