2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of early diagnosis method of knee osteoarthritis by balanced signal analysis of lower limbs.
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17K01585
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
長尾 光雄 日本大学, 工学部, 教授 (90139064)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
見坐地 一人 日本大学, 生産工学部, 教授 (70552347)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 運動器症候群 / 変形性膝関節症 / 筋骨格数理モデル / 関節の駆動パワー / 重心動揺 / リハビリテーション |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)膝関節摺動モデル試験、下肢バランス試験、及び膝関節廻りの力学モデルからの関節力を求めた。成果を示す。①摺動面は表面粗さがランダムパターンRa50と等間隔凹凸パターンRa100の2種類、摺動速度は4条件、摺動距離100mm、粘度は3種類の潤滑油を選定した。予備試験では推測とは異なる傾向であった。②下肢バランス試験は新たに「観察研究申請」し承認を得た。その計測には、重心動揺計、足底圧分布等、膝関節信号計測システムの準備をしたが、被験者の計測には至っていない。④医師の協力により、2年間で100名の膝関節信号は計測できた。③膝関節力学モデルを設定して、関節面に働く力PFJFとTFJFを静力学として解析した。これにIMUの加速度を加味した瞬発力を動力学として解析し、屈伸テンポの瞬発力はEMGと相関した。最大瞬発力は体重の約200倍に及んでいた。
(2)座位から立位の屈伸において、膝関節廻りの筋骨格数理モデルによる数値シミュレーションした。成果を次に示す。①伸展時の各筋肉の角運動量は屈曲時の角運動量の2倍強であった。また、大腿部の表側にある筋肉(大腿直筋)は股関節まわりの動作が遅い時の方が速い動作に対し角運動量が大きい。②逆に大腿部の裏側にある筋肉(半膜様筋、半腱様筋、大腿二頭筋(長頭))は速い動作の方が、遅い動作に対し角運動量が大きい。③膝関節廻りの速い動作に対し遅い動作の方が大腿部の表側の筋肉(大腿直筋、内側広筋、外側広筋)の角運動量は、膝関節の伸展と屈曲双方で大きい。特に、外側広筋は遅い動作の伸展時に一番大きい角運動量であった。④各筋肉においては、伸展と屈曲どの運動においても大腿二頭筋(短頭)が角運動量の値から激しく稼働していた。逆に大腿部の裏側の筋肉(半膜様筋、半腱様筋、大腿二頭筋(長頭))の角運動量は遅い動作に対し速い動作の方が大きいことがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)順調、おおむね順調な点 ①協力病院の医師からの紹介で、概ね2年間で100名の膝関節から身体的な特徴を有する被験者からデータが取得できた。しかし、次年度からはその協力が得られない。理由は、被験者が限定され、計測に負担を感じている。②下肢を筋骨格系2次元モデルに置いて、荷重屈伸と自動屈伸の関節面に働く力をバイオメカニクス的、静力学と動力学で解明した。また、EMG筋電強度との相関も確認した。③膝関節廻りの筋骨格数理モデルによる数値シミュレーションより、下肢筋骨格の各筋肉における伸展と屈曲時の連動した角運動量が分かり、テンポの違いによる筋肉の役割が数値化できた。
(2)やや遅れている、遅れている点 ①上記③で計画していた膝関節廻りの駆動パワーと各筋肉の角運動量及び膝関節廻りの回転剛性と膝関節からの信号との相関検証が出来ていない。②膝関節面を幾何学的凹凸面性状にモデル化した試験は再試験になった。試料の凹凸寸法、疑似潤滑油、負荷の大きさなど再度見直しとなった。③下肢バランス能力と膝関節異常との因果関係について、下肢バランスの「観察研究申請」し承認を得たが、新たな計測準備装置のシステム化である重心動揺計、足底圧分布、IMU、及びBJASによる膝関節信号をシステムの準備が遅れている。協力病院側と協議中でもある。
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Strategy for Future Research Activity |
現在の進捗状況でも述べたが、遅れた課題を解決して前に進みたい。以下、平成31年度の計画について示す。 (1)筋骨格数理モデルによる膝関節廻りの数値計算シミュレーション:目的は、被験者膝関節信号と関節面に働く力及び筋肉の働きを解明する。方法は、信号強度と周波数特性が駆動パワー、角運動量及び回転剛性と相関するのか、定量化が可能なのか検討する。その成果から膝OA膝関節面に働く力の解明と軽減する筋肉群及びバランス機能に関わる下肢筋肉群の働きについて、これらを数値計算シミュレーションで行う。 (2)摺動面性状と発信メカニズムの解明:目的は、膝関節の発信は摺動面の凹凸や硬化の差異に起因していると推定しており、これを実験的に再現し臨床信号の要因を考察する。方法は、凹凸形態表面試料を製作し、骨液粘度に類似の潤滑油を用い、負荷や介在物も含めた試験から臨床信号を検証する。 (3)下肢バランス能力と筋力向上の関係:目的は、膝OA膝伸展信号と運動を習慣化している膝関節信号の差異、運動を習慣化している膝関節信号と下肢バランス機能の関係を解明する。方法は、病院併設のスポーツ施設で「観察研究申請」の承認を得ている。新たな計測準備装置のシステム化を完成させ、協力施設と計測方法等について協議して進める。計測案内や計測手順のパンフを製作配布して、協力者を募る。 (4)臨床膝関節信号計測:目的は、膝OAの進行と信号強度の因果関係を解明し、早期診断に役立てる。方法に課題があり、当初は本研究課題の趣旨に理解を示し、医療スタッフや被験者はボランティアであった。計測の長期化には経費の限界があり、平成31年度は同施設の協力は難しくなった。今後は経費の支援がないと難しいが、新たに他の施設や地域住民の協力が得られるよう相談し進める。
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Causes of Carryover |
現在までの進捗状況でも述べたが、当初の計画より遅れている計画が二点あった。 (1)膝OA膝関節面モデル試験の凹凸モデル試料の設計製作と試験が遅れ、試料製作費である物品費が消化できなかった。理由は、凹凸大小の試料の予備試験で推測とは異なる結果となり、これの解決のために時間を要した。 (2)膝関節数理モデルによるシミュレーションに関わる試験が数理モデルの条件設定とその計算手法に難儀したため、その打合せと試験のための旅費や物品費、雑費等が消化できなかった。 次年度には、上記の事項が早い段階に解決できそうであり、予定通り進められるよう、関係者と相談しながら進める。
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Remarks |
展示会:①2018.10.6-7,第4回こおりやま産業博,②2018.10.18-19,メディカルクリエーションふくしま2018,③2018.8.4-5,9.2オープンキャンパス,④2018.2.28,佐賀大学,カーン准教授研究室 他:①雑誌Sensors and MaterialsのVol.30,No.8(2018)の表紙に開発したセンサの写真が掲載,②日本設計工学会-2017年度優秀発表賞受賞
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Research Products
(21 results)