2017 Fiscal Year Research-status Report
脳卒中片麻痺に対するスティック型簡易上肢機能訓練機器の開発
Project/Area Number |
17K01586
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Research Institution | Tokyo University of Technology |
Principal Investigator |
酒井 弘美 東京工科大学, 医療保健学部, 教授 (40624945)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 脳卒中 / 上肢機能 / スティック型 / 訓練機器開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、国内外で片麻痺の上肢機能訓練用ロボットの開発がなされているが、それらはいずれも高価で大装備であるため、一般には普及しづらい。そこで、研究代表者らは比較的安価で作成でき、持ち運び可能で、場所をとらず、簡単に操作可能な上肢訓練機器の開発をめざしている。本研究の目的は、脳卒中片麻痺上肢に対するポータブル簡易訓練機器を開発し、その効果を検討することである。 今年度は、腕用訓練機器の作成とその改良を行った。前研究で課題であったセンサーと画像の位置の一致を図るため、センサーの取り付けにボールベアリング技術を応用し、傾き(搖動角度)や回転角度を確認することが可能な構成を備えたものとした。また、机上の動作ではなく、空間での可動範囲を拡大するためスティック型とした。加えて、操作の簡素化・機器の小型化を図った。開発した機器を近隣の協力病院で有志の片麻痺患者に試用し、機器の形状や使いやすさ等について検討・改良を重ねた。また、訓練時に楽しんでできるPCゲームソフトも作成し、種類の増加を図った。さらに、今年度は臨床での効果検証を行うための当大学および各協力病院での倫理委員会申請・承認、臨床評価の準備等を行い、2箇所の病院でパイロット臨床試験を開始した。機器の紹介と1例の片麻痺者に実施した経過を日本作業療法士学会にて発表と展示を行った。 手関節用訓練機器に関しては、スティックを短くし、同様の機構を持つものを試作し、健常者で動作確認を実施して、改良を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
腕用のスティック型訓練機器については、前研究で行った「マウスを埋め込んだ移動体を使った机上でのリーチング訓練機器」で見つかった課題を解決することで、試作が早期に可能となり、有志の片麻痺者らへの試用で得られた意見をもとに改良を重ね、ほぼ完成することができた。また、近隣の回復期病院にて臨床研究の許可を得ることができ、臨床試験を開始することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、腕用訓練機器の効果検証に向けた臨床試験を継続して進める。あわせて、同機器を使用した際の健常者と片麻痺者の違いを筋電図とキネクトを使用した動作解析を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
開発に関しては、開発途中であるため共同開発者のソミック石川で原材料費等を負担したため、今年度の開発費用が少なかった。また、研究打ち合わせ等に関して、共同研究者が当大学に来校する形で行ったこと、発表学会が東京であったため、交通費がかからなかった。 次年度は開発した訓練機器を複数台購入し、臨床試験に備えたい。また、動作解析を実施するにあたり、解析ソフトを購入予定であり、被験者への謝礼等が必要である。さらに、北米神経科学学会での発表を予定しているため、その費用、論文投稿費等も予定している。
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