2017 Fiscal Year Research-status Report
狭所作業における移動効率を目的とした汎用車いす用の着脱式全方向移動機構の開発
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17K01607
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Research Institution | National Institute of Technology, Kumamoto College |
Principal Investigator |
永田 正伸 熊本高等専門学校, 制御情報システム工学科, 教授 (40370051)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 全方向移動 / 車いす / アタッチメント |
Outline of Annual Research Achievements |
H29年度研究実施計画では、①手動式車いすへの全方向移動機構のアタッチメント機構の開発、②非駆動輪を持つ全方向移動制御方法の確立、を計画した。 まず、計画①について、全方向移動モジュールを車いすに固定するアタッチメント部分について検討した。計画でも示しているように、全方向移動モジュールの着脱は基本的に車いすをモジュールの外側部に乗り込むようにするため、乗り込んだ状態で車いすの駆動輪にレバーブレーキを施せば、ブレーキの機能および乗り込んだモジュール外側部と車いす駆動輪の接地摩擦から車いすは同モジュールに固定され、特別なストッパーは必要ないと予想される。また、開発する全方向移動モジュールは車いすの下部スペースに配置することになるため、球体駆動輪および駆動モータ等のスペースを考慮すれば、固定のためのストッパーを設置するスペースが確保できるかも問題となる。さらに②では、実機ベースの全方向移動モジュールの試作を計画していることから、H29年度では、まず、実機ベースの全方向移動モジュールの試作を優先して実施し、車いすに同モジュールを設置した状態での駆動を確認した。 次に、計画②について、計画段階での課題であったモータのモデル化やエンコーダ信号の量子化誤差を考慮したシミュレーションモデルを構築し、ほぼ実機に近い制御シミュレーション実験を実施した。シミュレーション実験の結果、エンコーダ信号の取得サンプリングタイムにより、制御性能が大きく左右される結果が得られた。そのため、サンプリングタイムをできるだけ小さくする必要があり、検討した結果、(i)エンコーダ信号取得用マイコンを設置する、(ii)モータ専用ドライバを採用する の2つの解決方法を実施することとした。 また、今後の製品化への移行を積極的に進めるため、当初、H30年度に計画していた権利化について、前倒ししてH29年度に特許を出願した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、最終的に全方向移動モジュールを製品化し、身体障がい者のQOLの向上を目指すことを目標としており、今度の研究発表や産学連携への取り組みに積極的に繋げるため、H30年度に計画していた権利化についてH29年度に特許を申請した。 また、H29年度では、本研究の主要部分である全方向移動モジュールの試作を実施し、同モジュールに車いすを設置した状態での駆動し、同モジュールの基本性能を確認した。 制御性能については、モータのモデル化や、エンコーダ信号の量子化誤差を考慮した実機と同等なシミュレーションモデルを構築し、制御シミュレーション実験を実施した。シミュレーション実験により、制御性能を満たす制御系の構築に関する知見をえることができている。 車いすと全方向移動モジュールの着脱方法についても、試作した全方向移動モジュールを用いて具体的な着脱方法について検討し、ほぼ良好な結果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
H30年度では、H29年度に試作した全方向移動モジュールに、車いすを取り付けた状態での全方向駆動制御実験を行い、ストッパーの必要性、制御性能について検証する。実験結果により、ハードウエアの改良が必要な場合は、次年度の全方向移動モジュールの試作に反映する。また、H29年度に実施した制御シミュレーションと比較を行い、制御性能について検証し、さらに制御ミュレーションの高精度化を図り、実験と並行して全方向駆動制御手法を確率する。 また、実験結果により、ストッパーの必要性を検証し、必要と判断される場合は、ストッパー(アタッチメント)機構部の試作を行う。一方、不要と判断される場合は、H31年度に計画している全方向移動モジュールの試作について一部を前倒して実施することを検討する。 また、H29年度に特許を申請したことから、研究発表および産学連携イベント等に積極的に参加し、企業との連携を模索する。 H31年度では、全方向駆動制御実験の検討を通して得られた改善点を考慮して、新たに全方向移動モジュールを試作し、実用化を念頭においた製品開発を目指す。
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Causes of Carryover |
申請時予算の採択時での減額(32万)により、当初計画していたアタッチメント機構部一次試作(40万予定)を見合わせ、全方向移動実験機の製作費(50万弱)および同実験機の駆動装置(モータ・ドライバ等)の購入費(計41万強)に振り向けたが、当初の購入計画に対して全体として予算不足となり、さらに予定していたシミュレーション用計算機(15万予定)、実験用車椅子(10万予定)についても購入を見合わせた。その結果、最終的に12万円弱の予算持ち越しとなった。 H30年度では、持ち越し分と当初予算を合わせて、アタッチメント(ストッパー部)機構部試作、シミュレーション用計算機および実験用車椅子の購入を検討する。また、H29年度の研究成果および今年度の研究の進捗によるハードウエア部分の改善にともなう全方向移動モジュールの試作予定額と、今年度およびH31年度予算を考慮し、全体予算が不足する場合は、これらの試作・購入を断念し、平成31年度予定の全方向移動モジュールの製作の一部を前倒しで実施することも検討する。
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Research Products
(1 results)