2018 Fiscal Year Research-status Report
中枢化学受容器を中心とした呼吸と運動の自律並列的な制御
Project/Area Number |
17K01612
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
柚木 孝敬 北海道大学, 教育学研究院, 准教授 (00352500)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 呼吸 / 中枢化学受容器 / 脊髄運動ニューロン |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は前年、CO2再呼吸中に呼吸亢進が誘発されるだけでなく、脊髄運動ニューロンの自己持続的活動(self-sustained motoneuron activity)を反映するとされる自己持続的筋活動(self-sustained muscle activity, SSMA)が増加したことをヒラメ筋表面筋電図(EMG)で確認した(Respir Physiol Neurobiol, 2018)。これは、脳幹に存在する中枢化学受容器(CO2感受性領域)が、呼吸の制御だけでなく下肢運動の制御にも関与している可能性を示唆しているのではないかと考えられた。 当該年度は、脊髄運動ニューロンの興奮性の指標としてH反射とF波を測定項目に加え、吸入CO2濃度(4%と7%)がヒラメ筋のEMG応答(SSMA、H反射、F波)に及ぼす影響(実験1)および呼吸条件(CO2再呼吸、低O2吸入、随意過換気)がヒラメ筋のEMG応答(同上)に及ぼす影響(実験2)を調べた(進行中)。その結果、実験1では、H反射およびF波は条件間に有意な差は認められなかった。SSMAについては、統計分析に必要なサンプル数を確保することができず比較ができなかった。実験2では、H反射、F波に条件間での有意な差は認められなかったが、CO2再呼吸時にSSMAが増大する傾向が認められた。このように、当該年に実施した二つの実験では先行研究を支持する結果は得られなかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
前年度に当該年度の課題として挙げたSSMA誘発法の改善に想定以上に時間を要したため、上記実験の遂行が遅れ成果の公表が未完であり、また、当初計画していたもう一つの実験に着手できなかった。この実験に関しては次年度に実施することになる。
|
Strategy for Future Research Activity |
当該年度に実施できなかった実験を速やかに開始する。また、CO2あるいは呼吸の下肢EMG応答(SSMA、H反射、F波)への影響だけでなく、行動への影響も観察し、呼吸と運動の連関を明らかにしていきたい。
|
Causes of Carryover |
成果報告に至らず旅費や投稿費の支出がなく、また、計画していた実験の一つが実施できなかったために、次年度使用額が生じた。次年度はこれらを使用して未完の報告および未実施の実験をすすめる。
|