2020 Fiscal Year Research-status Report
中枢化学受容器を中心とした呼吸と運動の自律並列的な制御
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17K01612
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
柚木 孝敬 北海道大学, 教育学研究院, 准教授 (00352500)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 呼吸 / 中枢化学受容器 / 脊髄運動ニューロン |
Outline of Annual Research Achievements |
脳幹に存在する中枢化学受容器は二酸化炭素(CO2)センサーとして呼吸制御において重要な役割を担っている。本研究は、この中枢化学受容器が、呼吸制御だけではなく、四肢筋の運動を脊髄レベルで修飾している、つまり運動制御においても一定の役割を担っているという仮説の検証を目的としている。 本研究では、脊髄運動ニューロンの自律性活動を反映するとされる自律持続性筋活動(self-sustained muscle activity, SSMA)をヒラメ筋から導出し、そのSSMAが低酸素ガス(O2: 15.8%, 正常CO2)吸入および過換気の影響は受けないが、外部死腔(1500 mL)付加呼吸(低酸素+高CO2+過換気の混合)および高CO2ガス(CO2: 4%, O2: 21 %, N2バランス)吸入により増加することを示すデータを昨年度実施した実験により取得した。本年度は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、計画していた実験を実施することができなかったため、昨年度に得られたデータの分析および論文化を中心に研究を進めた(論文は投稿中)。それと同時に、研究の目的をより精緻に達成するために計画されていたCO2濃度の違いおよび高CO2暴露の時間の影響を検討するための実験、さらには、行動面(力発揮や運動リズムなど)への影響を検討するための実験に関して、そのプロトコルの詳細を確定することを目的に予備実験を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究では、呼吸活動や筋活動に関するデータを被験者(健常者)に装着する計測器や電極から取得する必要があり、その特性から、計画していた実験の実施は被験者および験者にとって新型コロナウイルスへの感染リスクが非常に高かった。そのため、計画されていた実験に関しては、予備的にしか進めることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度中に、感染防止策として、実験室の環境整備および計測器等については消毒法の改善を図った。よって、次年度(最終年度)は、国内あるいは地域における感染拡大状況を確認しながら、残された実験を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は、上に述べた理由により計画していた実験を実施できなかったため、それに関連する物品および被験者謝金等の支出が限定的で、次年度使用額が生じた。次年度はこれらを使用して未実施の実験をすすめる。また、実験が早期に完了した場合は、学会等での報告にも使用する。
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