2021 Fiscal Year Annual Research Report
Autonomous parallel control of breathing and limb movements centered on central chemoreceptors
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17K01612
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
柚木 孝敬 北海道大学, 教育学研究院, 教授 (00352500)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 呼吸 / 中枢化学受容器 / 脊髄運動ニューロン |
Outline of Annual Research Achievements |
脳幹に存在する中枢化学受容器は、二酸化炭素(CO2)センサーとして呼吸制御において重要な役割を担っている。本研究は、この中枢化学受容器が、呼吸制御だけでなく体肢筋の運動を脊髄レベルで修飾している、つまり運動制御においても一定の役割を担っているという仮説の検証を目的としている。 本年度は、国際ジャーナルへの論文掲載が1本、国内学会での発表が1本あった。これらは、脊髄運動ニューロンの自律性活動を反映するとされる自律持続性筋活動が、低酸素(O2)曝露や過換気(呼吸筋活動の亢進)ではなく、高CO2曝露によって増大することを安静下の下腿三頭筋筋電図(EMG)において確認し報告したものである。 また、本年度は、高CO2曝露の行動面(筋力発揮)への影響を検討することを目的に、二つの実験を行った。一つは、随意的な足関節底屈時の連続電気刺激によって持続的かつ不随意性の筋収縮力増大が生じる可能性と、その力増大に対する吸入CO2濃度の違いの影響を検討した。その結果、連続電気刺激前に比べて刺激後に有意な底屈力増大が認められたが、その増大量はCO2濃度と無関係であった。すなわち、連続電気刺激による脊髄運動ニューロン自律性活動への影響が随意的筋収縮力を不随意的に増大させる一方、高CO2曝露による脊髄運動ニューロン自律性活動に対する影響は、下腿三頭筋の随意的筋収縮時には顕在化しないことが示唆された。もう一つの実験では、高CO2曝露が膝伸展時における大腿四頭筋の活動に及ぼす影響を検討した。その結果、曝露時間の経過に伴い、筋活動が増大することを示唆するデータが確認された。今後さらなる実験による検討が必要ではあるが、中枢化学受容器のCO2刺激が体肢筋活動にEMGレベルだけでなく行動レベルにおいても変調をもたらす可能性のあることが示唆された。
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Research Products
(2 results)