2018 Fiscal Year Research-status Report
運動や体力向上は子どもの認知機能の発達を加速させるか-縦断研究による関連性の解明
Project/Area Number |
17K01613
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
佐川 正人 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (10196115)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 憲輝 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (10382540)
紙上 敬太 筑波大学, システム情報系, 研究員 (20508254)
小谷 克彦 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (40598794)
安部 久貴 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (40634556)
山本 理人 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (80312429)
奥田 知靖 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (90531806)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 実行機能 / 認知機能 / 体力 / 子ども / 運動習慣 / 体格 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題は,日本人小中学生の認知機能の発達に対して,体力・体格(肥満・やせ)そして運動習慣が与える影響を十分なサンプルサイズの被験者集団において縦断的に検討し,小中学生期の認知機能の発達と体力・体格・運動習慣との関連性を解明することを目的とする. 2年目である今年度は,1年目に収集したデータの整理・連結作業を行い,学校・保護者そして子どもたちへの簡単なデータのフィードバックを行った.また実際の調査として,年度前半は体力・体格測定を実施し,年度後半に認知機能の測定,アンケート調査を実施した.体力測定は新体力テストの8種目に加え,研究代表者の所属する大学が開発した敏捷性テストであるNチャレンジテストを実施した.質問紙調査によって子どもの生活習慣(運動習慣,睡眠習慣,栄養摂取状況,テレビ・ゲーム視聴時間など)やメンタル要因に関する調査を行った.認知機能調査は,クラスごとに各校のパソコンルームで一斉に実施・測定した.認知機能としては抑制機能とワーキングメモリの課題に加え,関連記憶課題を測定した. 初年度データをまとめた結果,1年目の調査参加者は小学3年生から小学6年生までの797名であり,2年目の調査参加者は776名であった.また1年目から2年目に追跡調査できた子どもは583名であった.今後,1年目そして2年目ともアンケート等での欠損データがあるため実際の縦断データの分析対象としては減少するが,できるかぎり追跡可能な子どもを増加させられるように調査協力校との連携・協力を図り,3年目の調査・測定を実施する. 3年目では最終年度になるため,まずは横断データを用いた分析をしつつ,縦断データの欠損データの整理が完了し次第,本研究課題の主目的である体力・体格と認知機能との縦断的な関連性について分析する.さらに,その知見を学会等での成果発表そして社会還元することを目指す.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ当初の研究計画の通りに調査・研究が進んでいるため.
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Strategy for Future Research Activity |
1年目そして2年目と同様の調査を実施し,発達および発育に伴う体力や体格の経年変化に伴う認知機能の発達について検討する 1)対象: 研究1年目および研究2年目である前年度に調査した子ども(小学4年生から中学2年生)を対象者として調査を実施する. 2)体力・運動能力・体格および認知機能の調査:身長・体重,新体力テスト8 種目,これに加えNチャレンジテストによって体力・運動能力調査を実施する.また,クラブ活動・少年団活動への所属の有無や日常身体活動量,幼児期の活動状況,運動時間・種目,座位活動時間(スクリーンタイムおよび家庭での学習時間など),睡眠時間・睡眠習慣について質問紙によって調査する.認知機能についても前年度と同様の認知テスト(抑制機能,ワーキングメモリ,関連記憶)を実施する. 3)分析および論文化: 横断データの分析および論文化を進める.縦断データについては欠損データの整理をする.横断データは実際の分析を進める.具体的な分析としては,認知機能と体力・運動能力や体格との関連性についての縦断的な関連性の有無を検討する.
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由として以下があげられる.まず体力測定および認知機能測定のために,研究者の所属校から遠隔地の調査協力校への旅費(札幌~釧路間および札幌~函館間)を見込んでおり,この調査協力校への旅費を削減できたことが理由として挙げられる.具体的には測定補助者を1年目は所属大学の学生に依頼していたが,調査協力校近郊の大学生とのつながりができたため,そこの学生に依頼することができ旅費削減に貢献できた.また,研究2年目のため交渉や調整の回数を1年目より少なくできたことも要因となった. ただ,削減分は3年目が縦断調査の仕上げにあたり,前年度までより丁寧に調査・測定する必要がある.とくに,追跡調査でありこの3年目のデータが特に重要であり,測定補助者の確保そしてより迅速なデータ整理のため有効かつ効率的な研究費使用を目指す.これによって課題達成に向けて効果的な研究費使用となるようにする.
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