2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K01618
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Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
門田 宏 高知工科大学, 情報学群, 准教授 (00415366)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 岳裕 金沢大学, 国際基幹教育院, 准教授 (50632254)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | fMRI / 運動記憶 / 脳活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々が日常生活を営むうえで運動は欠かせないものであり、その多くは学習によって獲得されたものである。ヒトの持つ運動学習能力の神経基盤を解明してくことは神経科学における重要課題の一つである。本研究では、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を用いて、複数の環境に対する運動学習能力と脳活動状態との関係を解明していくことを目的としている。 複数の環境の条件として、正面視点と右視点という異なる視点の条件を設定した。そして到達運動中に外力を印可するという力場環境に対する学習課題を行わせ、視点に応じた運動学習について検討した。その結果、正面視点と右視点といった視点の違いに関わらず共通した運動記憶があることが明らかとなった。さらに、正面視点と右視点のそれぞれの視点に応じて独立した運動記憶があることも明らかとなった。 さらに、このような異なる視点に基づいた運動記憶に関わる脳部位を調べるために、正面視点条件と右視点条件での到達運動課題中の脳活動を計測した。そして条件間で比較した結果、正面視点よりも右視点で到達運動を行っている時の方が後頭頂葉の活動が上がっていることが明らかとなった。また視覚情報に基づいた運動に関わる脳部位を関心領域とし、その脳領域の脳活動パターンに対してデコーディングを行ったところ後頭頂葉で有意に判別率が高いことが明らかとなった。これらの結果から後頭頂葉が異なる視点における運動学習に関与していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年の研究によって、フィードバックトレーニングを行うことで脳活動の変調の効果をもたらすことができることが明らかとなった。 本年度の研究によって、複数の条件に対する運動学習に関与する脳領域の候補をとして後頭頂葉が考えられることが明らかとなった。また、MRIの装置がVerioからPrismaに代わったため、Prismaでフィードバックトレーニングを行うための環境整備を進め、動作確認を行った。その他、トレーニングの対象とする脳領域を設定するために機能的関心領域を同定するための実験を行い、解析を進めているところである。装置のリプレイスがあったため装置にあわせてフィードバックトレーニングを行うための環境構築を新たに行う必要があったこともあり、まだ機能的関心領域を使ったトレーニングが行えていないことから若干の遅れがあると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでにフィードバックのトレーニング効果と複数の運動記憶に関わる可能性のある脳領域について検証を行ってきた。 今後は機能的関心領域を用いたリアルタイムニューロフィードバックトレーニングを進めていく。トレーニング効果の研究成果を参考に、ブロックデザインを用いて3日間程度のトレーニングを行う予定である。 さらに、トレーニングによって変調ができるようになった段階で運動学習課題と組み合わせていく。トレーニングを行った後に、外乱に対する運動学習を行う。そして学習後に、自らが脳活動を変調させることによってどのような運動記憶が形成されているかを検証していく。
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