2018 Fiscal Year Research-status Report
自然災害後の体育授業における心理社会面の強化を意図した運動遊びプログラムの開発
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17K01627
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
佐藤 善人 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (20534663)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 運動遊び / ストレス軽減 / 体つくり運動 / ポジティブ感情 |
Outline of Annual Research Achievements |
30年度は、29年度に実施した先行実践を踏まえた実践と分析を進めた。 29年度は熊本県益城町の1小学校4学級を対象に、1単元3時間の体つくり運動の実践を実施し、その研究成果は30年8月の第69回日本体育学会(徳島大学)にて発表した。30年度は、31年1月~3月にかけて熊本県甲佐町と嘉島町の3小学校20学級を研究対象とし、29年度と同様の実践を拡大して行った。そこでは、限られた狭い空間でも実施可能であり、スキンシップを伴う運動遊びが、児童の短期的なストレス軽減につながるのか検証することを目的とし、橋本(2011)が作成した改訂版ポジティブ感情尺度を用いて質問紙調査を実施した。現在、データを回収、および分析中である。 また、短期的な実践だけでなく、長期的な実践も行った。岐阜県本巣市の小学校2年生1学級を対象とした。体育授業の導入時に10分程度主運動につながる運動遊びを行った。9月から12月までの4ヶ月間継続して実施し、毎週金曜日に児童のストレスの状況について上地(2016)が作成した3A評価尺度を用いて調査した。その結果、有意差はないものの、児童の心理状態は好転し、天井効果が見られた。また、児童の多くが業前業間に積極的に外遊びをするようになった。この結果は、本巣市教育委員会に報告した。 なお、熊本県の実践と本巣市の実践で得られた研究成果は、令和元年9月に実施される第70回日本体育学会(慶應義塾大学)、第39回日本スポーツ教育学会(早稲田大学)にて発表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多くの小学校の協力を得て、予定通りに実践ができ、データも得られた。研究成果は学会で発表したり、協力校・教育委員会に対してフィードバックを行ったりした。 30年度のデータの回収は70%完了している。熊本県甲佐町と嘉島町のデータはこれから分析をするため、丁寧な作業を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度は研究のまとめを行う。 これまでの実践のデータを分析して、第70回日本体育学会(慶應義塾大学)と第39回日本スポーツ教育学会(早稲田大学)にて発表する。また体育科教育学研究に論文を投稿する予定である。 令和元年度は研究成果を実践に活用できるようにガイドブックとしてまとめる予定である。研究成果とともに、単元計画、指導上のポイントを示し、運動遊びのイラストを用いてわかりやすく作成する。自然災害後だけでなく、年度初めや学期始めなど、児童がストレスを抱えている時期にも活用できるガイドブックになるように努力する。
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Causes of Carryover |
30年度に学生アルバイトを伴うデータ入力が実施できなかった。また、ガイドブック作成にやや多くの支出が見込まれるため、予算執行を控えめに実施した。 令和元年度は、研究成果をまとめる。研究成果の学会発表、実践校への報告のための旅費を支出する予定である。イラストを用いたガイドブックの作成に多くの予算を使用する予定であり、成果物は実践校やその地区に配布する。体育科教育学研究への論文投稿も予定しており、抜き刷りへの支出も計画している。
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