2017 Fiscal Year Research-status Report
知的障害児・者における運動プランニングの特性解明と教育支援法の開発
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17K01628
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
奥住 秀之 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (70280774)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平田 正吾 茨城キリスト教大学, 文学部, 助教 (10721772)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 知的障害 / 運動プランニング / End-state comfort effect / 認知プランニング / 教育支援法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、知的障害児・者における運動プランニングの実態把握に主眼を置いた。運動プランニングの一種であるEnd-state comfort effect(ESC, 最終状態の安楽効果)を取り上げ、その出現を評価するための課題を、知的障害児・者に実施した。ESCとは、ある運動を遂行する際には、次の運動へと移行しやすい安楽な姿勢で、その運動が終了するようあらかじめ計画が成されるという現象である。測定の結果、知的障害児・者におけるESCの出現は稀な事象であり、非安楽な姿勢で運動を終了する者が多く観察された。しかしながら、こうした結果の一方で、課題の最終的な目標が分かりやすい具体的な状況設定のもとでは、知的障害児・者におけるESC出現が促されることが明らかとなった。こうした検討に加え、本年度は知的障害児・者と同様の測定を、幼児期から児童期、青年期の定型発達児に行い、ESC出現の発達的変化の把握を試みた。現在、得られた結果を分析中である。この結果を基準とした分析を行うことにより、知的障害児・者における運動プランニングの実態を発達的観点から特徴づけられると考えている。更に、本年度は定型成人や自閉症スペクトラム障害(ASD)児の運動制御における内言の役割についての検討を行い、定型成人においては明らかに、ASD児においては留保付きながら、その運動制御に内言が関与していることが明らかとなった。この結果は次年度から行う知的障害児・者における運動プランニング出現の認知的な規定要因を探索する際の重要な指針となるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者の職務の都合により、研究開始にやや遅れが生じたが、その後は当初の予定通りに調査を行うことができ、一定の成果を得ることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
交付申請書に記載の通り、次年度は知的障害児・者における運動プランニング出現に関する認知的な規定要因を探索すると共に、実際の運動能力との関連についても検討することから、知的障害児・者における運動プランニングの実態をより総合的に明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
研究代表者の職務上の都合により、本年度の当初から研究に着手することができなかったために研究の開始が遅れ、次年度使用額が生じた。これは次年度から実施する測定で使用する機材の購入費となる予定である。
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