2017 Fiscal Year Research-status Report
幼児期におけるからだを動かす遊びが非認知能力を育む可能性に関する実証研究
| Project/Area Number |
17K01633
|
|---|
| Research Institution | Aichi University of Education |
|---|
Principal Investigator |
鈴木 裕子 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (40300214)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
| Keywords | 非認知能力 / からだを動かす遊び / ビックファイブ性格特性 / 共分散構造分析 / 遊び体験 / 非認知スキル |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
将来の人材育成は国の成長戦略の一環であるとの認識から，就学前教育へ関心が高まっており，そのなかでも非認知能力の育成が幼児教育の中心的なテーマになっている。非認知能力は日本だけではなく世界中で研究が進み，その重要性が認識されている。しかし幼児期の非認知能力がどのように発達するかについては，保育の質，遊び体験などが影響されるという報告はあるものの，具体的な対象や内容との関係は明らかにされていない。
本研究の目的は，幼児期におけるからだを動かす遊びが，非認知能力の育成に影響を及ぼすという仮説を実証することである。からだを動かす遊び（運動遊び，身体表現遊び，戸外遊びなど）における非認知能力の醸成過程を取り上げ，質的研究と量的研究を組み合わせることにより，非認知能力に関連する規定因と，その獲得につながる機序を明らかにし，同時に幼児期におけるからだを動かす遊びの意義を再考する。
平成29年度は以下を実施し成果を得た。1，非認知能力に関連する基礎資料を収集し，先行研究を概観し，非認知能力の保育実践における重要性について整理し論考した。2，幼児期におけるからだを動かす遊びの内容や特徴について，既存の理論や先行研究を概観し，本研究での位置付けを検討した。3，幼少期におけるからだを動かす遊び経験が非認知能力に影響を及ぼすという仮説を実証するために，大学生を対象とし質問紙調査を実施した。幼少期のからだを動かす遊び経験については，遊び場，遊びの種類，遊び方，遊びの姿について横断的後ろ向き研究としての振り返りを行い，非認知能力に関する視点としてビックファイブ性格特性を用いた。その後，仮説モデルを基本モデルとして，共分散構造分析により影響度などを検討した。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究テーマ，特に非認知能力に関する国内外の基礎資料の収集，先行研究の概観と考究，分析方法の妥当性の検討，データ量確保に時間を割いた関係上，当初予定していた半構造化面接による質的なデータの収集に至らなかったが，来年度実施の目処を立てることができており，おおむね順調に進んでいる。
|
| Strategy for Future Research Activity |
今年度のような横断的な後ろ向き研究としての質問紙調査を用いた場合，縦断的な前向き研究に比べて，交絡因子の振り返っての把握が困難なため，偏りの制御が難しいというデメリットはあるが，目に見えず数値化することの難しい非認知能力について，何らかのエビデンスが求められている保育現場の緊急性に鑑みて，一資料の提供を試みる研究をさらに推進する。
そこで，第一段階として多人数を対象とする質問紙調査を行ったが，今後は対象者を絞った半構造化面接を実施し，回答内容に関するデブリーフィングを行いながら情報を収集し，データの追加と分析方法の精度を高めて，理論的な精選を図り，仮説モデルの典型性を高める。同時に，からだを動かす遊びにおける非認知能力の見える化を目指し，保育現場における実際のからだを動かす遊び場面を選定し，行為者，行動の先行因，潜在因，経過，結果などを観点として量的，質的側面からの検討を開始する。これらを国内外の学会発表や論文投稿につなげる予定である。
|
| Causes of Carryover |
次年度に使用額が生じた理由は，予定していた面接調査の実施とそのデータの分析を次年度に実施することになっため，それに伴う謝金，分析補助等の支出がなかったためである。
来年度には，研究の精度を高めるため，研究対象のフィールドを追加しデータを収集する予定である。そのための旅費，インタビュー等のテープ起こしや分析補助の謝金として使用する予定である。
|
Research Products
(8 results)
