2018 Fiscal Year Research-status Report
7種類の伝統芸能に共通する身体の芯や軸のしなやかさに関する実証的研究
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17K01641
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
森田 寿郎 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 准教授 (30329081)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 ゆい 東京立正短期大学, その他部局等, 講師(移行) (10365455)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 技 / 伝統芸能 / 動作分析 / ロボティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
伝統芸能5ジャンル7種類のトップレベルの実演家14名を対象に、次の2つの目標を目指して研究を進めている。第一目標:各芸能別に習得すべき「身体の芯や軸」と表現される技を、熟達者による身体の注目部位に関する視線測定、筋骨格モデルによる技の再現によって実証的に解明する。第二目標:実演家の技と伝承者の言葉を動画で記録し、動作作品(テロップは日本語版と英語版の2種類)を作成し、一部を一般公開する。DVD付き書籍にまとめて出版する/技と言葉の映像撮影(第一段階)、動画編集を行い公開(第二段階)、聞き取り調査及び実証的な調査結果を含めて書籍(DVD付き)にまとめて出版(第三段階)。2018年度は、次の内容を進めた。 第一目標と第二目標に共通する熟達者の調査では、能楽シテ方:櫻間金記氏・辰巳満次郎氏・政木哲司氏・柴山暁氏、能楽囃子方:大倉源次郎氏(人間国宝)・大倉怜士郎氏、日本舞踊:西川扇藏氏・西川祐子氏・藤間清継氏・藤間大智氏・藤間加賀美氏・花柳茂珠氏・若柳豊氏、地唄舞:神崎貴加江氏、のヒアリングならびに実験を終了した。また国内外の舞踊の対比による技の理解を狙って、バレエ:森龍朗氏・鍋谷明氏・若林幸子氏にヒアリング調査を実施した。 第一目標については、身体の「芯」は丹田付近の体幹部から膝までの領域であり、特定の筋群が係わるという仮説を得た。そこで脊柱と下肢から構成される新たな筋骨格モデルを試作し、動作実験によって「芯・軸」の効果に関する検証を行ったところ、熟達者を再現した設定において体幹軸の傾きのばらつきが最も小さくなった。このことから、熟達者は体幹部・大腿部の筋の剛性を変化・調節することで上体と下肢の連動性を操作する、と解釈できることを明らかにした。第二目標については、動画編集および日英テロップの編集を進め、地歌舞版(日・英テロップ付き)を完成させて公開した(第二段階)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第一目標については、脊柱と下肢から構成される3軸筋骨格モデルの試作ならびに技の一部を再現し、能楽シテ方:櫻間金記氏・辰巳満次郎氏・政木哲司氏・柴山暁氏、能楽囃子方:大倉源次郎氏(人間国宝)・大倉怜士郎氏、日本舞踊:西川扇藏氏・西川祐子氏・藤間清継氏・藤間大智氏・藤間加賀美氏・花柳茂珠氏・若柳豊氏、地唄舞:神崎貴加江氏、のヒアリングならびに実験を終了した。また国内外の舞踊の対比による技の理解を狙って、バレエ:森龍朗氏・鍋谷明氏・若林幸子氏にヒアリング調査を実施した。 第二目標については、第一段階を終了させた。第二段階の地歌舞に関する解説動画を作成した。これによって解説動画は、日本舞踊版と地歌舞版の2作品が完成し、残りは能楽シテ方、能楽狂言方、能楽囃子方、文楽の4作品となった。
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Strategy for Future Research Activity |
第一目標については、これまでに得た熟達者の技に関する様々な知見をロボティクスにおける設計・制御技術に利用するための検討を進め、学会発表ならびに論文投稿することを計画している。 第二目標については、第二段階(動画作品の完成と公開)ならびに第三段階(DVD付書籍の出版)の完成に向けての作業を進め、2019年度中に成果を取りまとめて出版社に入稿することを目指す。
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Causes of Carryover |
第二目標の第二段階(動画作品の完成と公開)のうち4作品が編集作業中であるため。
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