2017 Fiscal Year Research-status Report
東アジアにおける舞踊の再創造と伝承 -琉球・韓国・中国・台湾の舞踊技法-
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17K01643
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
波照間 永子 明治大学, 情報コミュニケーション学部, 専任准教授 (80336487)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 身体技法 / 舞踊史 / 琉球舞踊 / 韓国舞踊 / 中国舞踊 / 日本舞踊 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度は、次の4点について研究を行い成果を公開した。 1.琉球舞踊と韓国舞踊の扇を用いる技法の比較:2016年度より成均館大学校舞踊学科の田銀子・朴ナニョン両教授と継続している琉球および韓国の扇を用いる技法(持ち方の類型)の比較に関して、韓国舞踊史学会(SDDH)学術機関誌に投稿し査読を経て公刊した。また、2017年度は新たに中国舞踊も対象に加え扇の持ち方の類型化を試み、比較舞踊学会にて富燦霞が口頭発表した。 2.琉球舞踊・韓国舞踊・日本舞踊における扇の技法の象徴性:昨年度に引き続き、扇の技法と象徴性について調査を実施した。今年度は、琉球舞踊・日本舞踊・韓国舞踊の主要な作品における扇の技法の象徴性を中心に分析し、その成果を、国内外の学会にて報告するほか、年度末に明治大学リバティーホールにて一般に公開した。日本舞踊の調査については、森田ゆいが担当した。また本研究の内容を踏まえ、共通の小道具「扇」を用いて、琉球舞踊・日本舞踊・韓国舞踊の国際共同制作「雪月風花」を初演・公開した。制作に際して公益財団法人日韓文化交流基金の助成を得た。 3.琉球舞踊・韓国舞踊・中国舞踊の再創造と伝承:一端途絶えた舞踊を再創造する過程について、蔡美京他が「日韓併合時代における『處容舞』の分析」からと題する成果を、また、富燦霞が『中国古典舞教学体系創建発展史』から考察した現代中国舞踊の変遷と現況についての成果を、日本スポーツ人類学会にて報告した。さらに、波照間は沖縄戦で途絶えた舞踊が復活する経緯の一端を、「戦前・戦中・戦後を生きた舞踊家(志田房子)のオーラル・ヒストリー」の聴取からまとめ人体科学会シンポジウム等で報告した。 4.琉球舞踊と韓国舞踊の「袖」を用いる技法の比較:琉球舞踊と韓国舞踊における「袖」を用いる技法の比較研究の成果を、2018年度刊行予定の図書にて公開する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2017年度は、中国舞踊も対象に加え、おおむね順調に進んでいる。論文としては、韓国の舞踊史学会SDDHの機関誌に韓国語で公刊したが、日本語による論文の成果公開は2018年度に延期となった。その理由は、所収予定の図書の編集作業が遅れていることによる。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度は、2017年度に口頭発表した以下の研究成果を、国内外の学術機関誌に論文として投稿することを課題としたい。 1.扇の技法の象徴性:主要な作品における扇の技法の象徴性について、前年度の成果を再度精査し、象徴性の類型結果をまとめる。 2.琉球舞踊・韓国舞踊・中国舞踊の再創造と伝承:2017年度に人体科学会シンポジウムおよび日本スポーツ人類学会の一般発表にて口頭発表した「舞踊の再創造」に関する成果を、舞踊学関連学会誌に投稿する。 3.琉球舞踊家オーラル・ヒストリー研究:2012年度より継続して実施している琉球舞踊家、志田房子氏のオーラル・ヒストリー研究において、戦後ハワイに滞在し同地にて沖縄系移民に舞踊を伝承していた実態を調査する。また、志田氏による創作作品の内容を分類するとともに、主要作品の分析結果を論文として投稿する。
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Causes of Carryover |
当初、パソコンを新たに購入予定で予算を組んだが、修理することで使用可能となったため。また、3月末の学会出張旅費(日本スポーツ人類学会、愛媛大学)を次年度支払いとしたことによる。
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