2017 Fiscal Year Research-status Report
The exercise program for elderly and teaching method ;One minute neurotransmission exercise and instructor training
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17K01649
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Research Institution | Kyoto Gakuen University |
Principal Investigator |
吉中 康子 京都学園大学, 経済経営学部, 教授 (80166983)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 みさか 京都学園大学, 健康医療学部, 教授 (90150573)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 1分間体操 / 運動介入効果 / 運動指導法 / 運動マニュアル / ヘルスプロモーション / 健康補助食品 / バーバールキューイング / ビジュアルキューイング |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに、元気な高齢者であっても33%がうつ傾向であり、元気な高齢者とうつ傾向の高齢者では身体機能の低下が顕著であることから、両者に運動介入し、総合型介護予防プログラムの介入が高齢者の身体活動量を増加させ、老年期うつ病尺度ならびに認知機能(注意機能)の改善を導くことが明らかになった。加えて、身体組成の改善(体脂肪量の減少と下肢骨格筋量の増加)及び歩行能力(最大歩行速度)、GDSスコアの改善が見られた。今回は特に神経と筋の伝わりをよくする1分間体操を制作し、ビデオを作製した。高齢者の運動指導者のため、エビデンスのあるプログラムを楽しく安全に指導できる実践力をつけるため、バーバルキューイングのマニュアルを作成した。 一方、60~83歳の健常男女71名(男性13名、女性58名)を対象とし、群分け後10週間、1分間体操(自宅で、1分間程度で怒責なく実施でき、且つ神経から筋肉への運動シグナルの伝達機能向上を図る為、複数部位を同時にリズミカルに動かすことを意識して設計した)を実施すると共に、MFGM(MFGM: 1g/日)を含む健康食品、或いはプラセボ(全脂粉乳: 1g/日)のタブレットを毎日摂取した。介入開始時、開始後4週及び8週時に運動機能評価を行い、10m障害物歩行、膝伸展力、10秒間高速足踏み回数、及び20秒間開閉ステッピング回数を計測した。二重盲検プラセボ対照試験を行神経筋の伝達機能改善を促す体操とMFGMの併用は、敏捷性等の運動機能を高めることが明らかとなった。この結果より、本体操の持つ運動効果は、適切な栄養付加により更に高められることが示唆された。この結果を公衆衛生学会において発表した. 現在マニュアルを利用した指導者のスキルアップを行い評価法について検討するとともに、ヘルスプロモーションの進捗状況を探るアンケートを作成中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
運動についての介入及び効果の検証をする中、企業との共同研究に結びつき、運動と栄養を加えた研究として発展している。 また、行政より、我々が作成した京都式総合型介護予防プログラムのひょぷかが高まり、現在4市で採用され、4市ともに運動介入効果としての体力測定も実施できている。また、市民サポーター養成も同時に進行し、運動指導の際に必要なノウハウについても抽出しつつある。 H28には624名の高齢者の体力を測定し、H29は475名であった。厚生労働省の報告によれば、平成26年度に基本チェックリストに回答して二次予防対象者に該当した高齢者は、全国平均で基本チェックリスト実施者の26.8%であった。亀岡市の体力測定全参加者のうち、男性約25%、女性約33%、全体で30%が二次予防対象者であった。自力で生活を営み、体力測定や体操教室に参加する意欲のある高齢者の中でも男性の4人に1人、女性の3人に1人が二次予防対象者に該当する。体力測定項目では、男女とも多くの項目で一次予防対象者と二次予防対象者の体力差がみられた。女性は片足立ちや歩行機能に関する項目の多くで、男性も筋力を代表する握力や、生活機能を反映するタイムアップ&ゴーや足腰の粘り強さを反映するチェアスタンドの値で二次予防対象者の体力低下がみられた。運動器の機能維持による体力維持・口腔衛生・認知症予防の啓発と支援が高齢期の生活の質を保つ上で重要と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに地域で展開してきた運動プログラムを身体活動量アップだけでなく、神経と筋という視点で見直し、さらに、健康教育の内容やその展開方法、高齢者の生活にフィードバックできる運動指導内容等を検討する。プログラムとしては、参加型(集団)で実施できるものと、保健師やヘルパーあるいはボランティアによる家庭訪問時に(個別)実施できるものを作成する。 高齢者の体力測定については毎年継続して実施し、身体機能の状況を把握する。運動介入については、亀岡市高齢福祉課、亀岡市保健センターおよび地域包括ケアセンターとの協働で実施する。プログラム展開の基本は、参加型の集団介入(1週間に1回の教室型)とするが、場合によっては、保健師、ヘルパー、ボランティアなどが訪問による支援(1週間に1回の個別訪問型)を行う。週1回で10回の教室を年間4クール行い、ドロップアウトの状況と分析を行い、運動支援と経過観察を継続する。要介護認定状況の調査を継続する。 行政とタイアップし、EBAで亀岡市内で運動介入できる場を増加させていき、その評価法を確立する。
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Causes of Carryover |
EBAを重視し、プログラムの評価や高齢者の体力を評価している。地域住民が健康づくりの担い手として活躍できるために、マニュアルをまとめたいと考えており、現在、リーダーの教科書作成、行政との調整、指導者養成など、実践面での土台作りを行っている。 介護保険や福祉、医療費の高騰は際限がなく、健康や介護にかかわる公共投資について科学的なエビデンスを明らかにすべきとの社会要請に対し、日本における保健医療分野の検証、特にエビデンスはあるが、実践面においての検証は不十分であると言わざるを得ない。社会基盤としての質の高い実践と地域づくり情報の蓄積の重要性と社会認識の問題を踏まえ、今後情報を最大限に蓄積し、研究を進めるためである。
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Research Products
(11 results)