2019 Fiscal Year Research-status Report
The exercise program for elderly and teaching method ;One minute neurotransmission exercise and instructor training
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17K01649
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Research Institution | Kyoto University of Advanced Science |
Principal Investigator |
吉中 康子 京都先端科学大学, 教育開発センター, 特任教授 (80166983)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 みさか 京都先端科学大学, バイオ環境学部, 客員研究員 (90150573)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 介護予防事業 / 介護予防プログラム / 認知機能向上 / 運動定着記録ノート / 健康長寿お宝ノート / 運動・栄養・口腔ケア / プログラムのエビデンス / サポーターの教材 |
Outline of Annual Research Achievements |
2011年より、大規模介入研究で運動を中心に、栄養・口腔ケア・住民参加の多要素複合型プログラムを実施し、教室型・自宅型ともに、歩数の増加と筋量・脚筋力・筋パワー・歩行機能の向上を認めエビデンスが構築された。行政とタックを組み、亀岡市を含む6地域においても介護予防事業を支援する体制も整った。 しかし、課題は虚弱高齢者への運動定着であった。エビデンスのあるプログラムを基礎に、さらに、市民サポーターと試行を重ねながら、認知・心身機能向上をねらった1分体操の介護予防プログラムのサロンなどへの提供を行い、サポーターの教材とした。そして、高齢者への運動定着のため、対象者に動機づける目的で行政職・社会福祉協議会ともタックを組み、住民を巻き込み、運動定着記録ノート「健康長寿お宝ノート」を開発した。 「介護予防」は、要介護状態の軽減や悪化の防止だけでなく、高齢者が地域で自立した生活がおくれるようにすることを目的としており、これらは、「高齢者本人の自己実現」、「高齢者が生きがいを持ち、自分らしい生活を送る」QOLの高いことが最重要である。地域の中に生きがい・役割をもって生活できるような居場所と出番づくり等、高齢者本人を取り巻く環境へのアプローチも含めたバランスのとれた活動を行った。 このような現場の取組み構築と並行し、介護予防事業全国調査のため、事前調査をした。結果は、先行的な取組みは少なく、マトリックスは素晴らしいが、現実的な介護予防の取組みは多くはなく、現場での現実的なプログラム課題が浮上した。元気な高齢者を増やすことを目的とした効果的な介護予防の仕組みとして、我々はマニュアル、DVD、音源を制作した。新型コロナの影響により外出自粛で運動不足になる中、亀岡市、社会福祉協議会、介護予防リーダーだけでなく、医療機関、介護施設、全国の都道府県高齢福祉課などに提供し、youtubeにも公開した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
亀岡市で養成したサポーターは約400名、彼らの活動を支援するためにNPO法人元気アップAGEプロジェクトを設立し、エビデンスのある1時間30分程度の介護予防プログラムの普及を図っている。2019年には京都府下5市1町で28の元気アップ体操を運営している。 また、中高齢者における運動が体力面や認知機能に及ぼす効果についてはColcombe(2004)が採用した、Ericksenフリンカー・パラダイムを参考に、コンピューターの画面上での認知機能テストを作成し、体操を10年以上継続群とその他のスポーツ実施群と運動不活発群の3群で比較した結果、エラー率と、反応時間に有意差があり、運動の認知機能に与える効果が示唆された。 一方で、軽費老人ホーム(63~95歳:延べ284名)で体力測定を9年間実施、運動定着も試みてきた。これら継続した研究の中で、85歳以上の高齢者の健康問題が課題として浮かび上がってきた。「運動が大切、社会参加をするべき」という活動理論的価値観があるが、加齢による機能低下が著しい場合に、「以前のように活動できない自分はダメな人間だ」、「社会参加しても迷惑をかけるだけだ」といった自己評価の低下を引き起こす。年齢階層別の要介護(要支援)発生率は、40~64歳(0.4%)、65~69歳(3.0%)、80~84歳(28.0%)、85歳以上(60.1%)である。 今後の急速な超高齢化による虚弱高齢者の増加により、近隣であっても「その場に出ていくこと」が難しい者が急増することが予想される。一方で,移動能力には問題がなくても精神的健康度が低く、人間関係能力の低い者も、地域での活動に出ていくことが難しい。これらの特性を持つ者に対するアプローチとして、時間は1分、毎日取り組めるをコンセプトに体操を開発、マニュアル・動画・音源が完成し、SNS上でも公開した。さらに研究を進めたい。
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Strategy for Future Research Activity |
申請者は、長年にわたって、健康づくりや介護予防のための各種運動プログラムの作成と、それを地域に広める実践的な活動の仕組みづくりを、住民主体で行政(京都府・亀岡市・南丹市・八幡市・木津川市・京都市・笠置町)や亀岡市の自治会、老人会、NPO法人元気アップAGEプロジェクトとの協働・協力の下で行ってきた。 しかし、元気な高齢者であっても33%がうつ傾向であり、元気な高齢者とうつ傾向の高齢者では後者は身体機能の低下が顕著である。養成した市民サポーターが運営する体操教室では、週1回参加者が体操を常備薬にし、運動の効果として生活習慣病の予防に繋がり、「外出が苦にならなくなった」「姿勢が良くなり、きびきび動ける」「忘れ物をしなくなった。」など、このシステムを通した元気アップ体操教室の効果が現れている。 さらに、37年継続開発している音楽体操を改良し、2015 年にはマルチ音楽体操プログラムと命名し、週1 回・1 時間・12 週の活動で、50~82 歳の女性34 名の腕・脚筋力向上と身体組成とBMI の改善が確認できた。今回は虚弱高齢者のために、継続できる神経と筋の伝わりをよくする1 分間体操を制作し、マニュアル・DVD・音源が完成し、新型コロナの時期に活用いただくために、著作権申請し、youtubeで全国公開した。 今回の研究と並行し、地域・近隣と在宅(個人)に共通した精神的健康増進の取り組みとして従来の活動理論的立場とは異なる老年的超越やマインドフルネスによる「ありのままの受容」の醸成を目的にプログラムを開発している。また、体操以外にも、町の歴史や名所・旧跡を巡るニュースポーツのフォトロゲイニングのコース開発を住民主体で進めた。ドイツのクアオルトを参考に、気軽に歩ける地域の環境整備に繋げ、観光客の誘致が、地域の高齢者の役割の創出となり、社会参加が可能なプログラムを構築を目指したい。
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Causes of Carryover |
新型コロナの影響もあり、最終的に計画していた介入と論文の作成ができなかった。また、調査研究のデータが、自然災害の影響と対象者が高齢者であることから、データの欠損があり、現在、欠損データをどのように補うかを検討中である。 3年間の研究計画通りに、資料収集し、論文を完成させる計画である。
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Remarks |
歌って楽しい1分体操は介護予防を目的に研究の一環として制作しました。定期的な身体活動は高血圧、過体重、肥満、生活習慣病を予防することが科学的にも証明されています。また、運動は心身の健康度をアップし、気分もすっきりします。新型コロナの影響で、全国的に運動不足の方が増えています。家で、学校や職場で楽しんでいただくにはとても良いプログラムとなるでしょう。
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Research Products
(12 results)
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[Journal Article] Effects of Capsinoids on Daily Physical Activity, Body Composition and Cold Hypersensitivity in Middle-Aged and Older Adults: A Randomized Stud2020
Author(s)
Keiichi Yokoyama,Yosuke Yamada,Yasunori Akamatsu,Yasuko Yoshinaka,Akiko Yamamoto,Tomonori Koizumi,Kana Ohyama,Katsuya Suzuki,Masaki Hashimoto,Hitoshi Sato,Misaka Kimura
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Journal Title
Nutrients
Volume: 12(1)
Pages: 1-23
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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