2019 Fiscal Year Research-status Report
運動遂行前の情動喚起メッセージ聴取が運動学習に及ぼす影響
Project/Area Number |
17K01651
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
石倉 忠夫 同志社大学, スポーツ健康科学部, 教授 (90319468)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 運動学習 / 言葉がけ / 情動 / 動機づけ / 運動遂行前 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は運動遂行前における指導者や周囲の人々からの学習者の情動や動機づけに働きかける情動喚起メッセージ(例えば、「行けるよ」「失敗するなよ」など)が行動や学習に及ぼす影響について検討することを目的としている。 本年度は研究実施計画の最終年度にあたり、研究課題Ⅰに関連して1つの実験と1つの調査、研究課題Ⅱ-2の追加実験として1つの実験を行った。 研究課題Ⅰの実験では、指導者からの快感情あるいは不快感情を喚起させるメッセージを想起させたときの覚醒水準の変化を脳波測定にて検討した。その結果、両メッセージ間の覚醒水準に明らかな違いは示されなかった。 調査では体育教師からの運動遂行前にどのような言葉がけを期待するのかについてパーソナリティと運動意欲との関係から検討した。その結果、体育教師に対する“好感の程度”、パーソナリティに関しては“協調性”、そして運動意欲については主に“活動欲求”“親和欲求”が運動遂行前に期待する言葉かけに関与することが示唆された。本調査の結果をまとめ、国際学会(応用スポーツ心理学会)にてポスター発表し、京都文教短期大学研究紀要第58集に論文発表した。 研究課題Ⅱ-2の追加実験として、指導者から運動遂行前の情動喚起メッセージを受けながらボール投げ課題を実施する様子を観察させたときの観察学習効果と感情に及ぼす影響について検討した。その結果、観察学習効果は認められなかったが、学習書の感情に影響したことが示された。この結果は、運動前の快または不快感情を喚起するメッセージは課題遂行の結果には影響しないが、感情や動機づけの面に影響するという昨年実施した研究結果と同様であった。 また、昨年度の研究成果(運動前に与える感情喚起メッセージが注意と反応時間に及ぼす影響)を日本体育学会第70回大会でポスター発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究に興味を持つ学生が卒業研究として取り組みたいとの申し出があったため、当初予定していた研究課題Ⅱ-2の追加実験を実施することができている。しかしながら、昨年実施した運動前に与える感情喚起メッセージが注意と反応時間に及ぼす影響について検討した実験において、実験デザインに大きな問題点があることが判明した。したがって、再実験する必要が生じたため、おおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は研究実施計画では最終年度にあたるため、科学研究費補助事業の補助事業期間の延長を申請した。その結果申請が認められ、研究継続が可能になった。「現在までの進捗状況」で触れたとおり、次年度は昨年実施した実験の実験デザインを再検討し、実験を実施する。 また、これまでの研究成果をまとめ、今後の研究課題を検討する。
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Causes of Carryover |
補助事業期間を延長したため、これに必要な経費を確保した。内訳としては、再実験実施に必要な消耗品費や被験者への謝礼。研究成果の発表のための学会出張費として使用する予定である。
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Research Products
(4 results)