2017 Fiscal Year Research-status Report
Narrative Approach in P.E. Lesson Study - Focusing on Practice Records and Its Rewriting -
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17K01654
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
石田 智巳 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (90314715)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加登本 仁 滋賀大学, 教育学部, 准教授 (40634986)
制野 俊弘 和光大学, 現代人間学部, 准教授 (70795153)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 実践記録 / 体育授業 / ナラティヴ・アプローチ / 語り直し |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,2000年頃から医療,看護,心理,福祉,教育などの臨床現場のみならず,実践ベースの研究においても散見されるようになったナラティブ・アプローチを用いて教育実践を捉えようとするものである。ナラティブ・アプローチは臨床現場ではとりわけ,クライアント,患者,そして教育学では子どものネガティブなナラティヴをポジティブに変えようとする試みが報告されている。しかしながら,教師が成長していくというときに,教師のナラティブが変容していくという観点を見逃すわけにはいかない。その点では,ライフ・ストーリー研究によって,インタビューアーとインタビューイの関係において教師のナラティヴの変容を取り出そうとする研究も見られる。 本研究では,大正時代に始まったとされる教師の実践記録とその書き直しによるナラティブの変容に着目している。実践記録は生活綴方と関連をもっており,その意味では教師の綴方(勝田)といえるのであるが,自らの実践を教師が綴り,それを研究サークルの教師集団に報告し,実践の持つ意味の確認や,新たな方向付けがなされることで,実践記録は書き直され,教師の信念の輪郭がはっきりしてくることになる。 本年度は,特にプロッブ等のナラトロジーやバルトのテクスト論をもとに,教師が書く物語に見られるであろう構造を抽出するための基礎的な理論を学んだ。そして,1950年代前半に書かれた「有名な」実践記録を比較することで,実践記録に共通するテーマを抽出する試みを行った。同時に,実践記録をベースとした研究会に参加することで,実践記録を収集した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は,2019年に始まる新しい教育職員免許法への対応に秋以降追われることとなった。また,専攻の責任ある立場として3つの人事に関わり,報告書の作成を行うなど,研究に割けるエフォートがかなり少なくなったことがあげられる。しかしながら,このような事態はあらかじめ予想されたことであるし,情報の収集(文献,実践)については予定通り行うことができたため,このような評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,サバティカルを取ることができ,研究を進める時間的な余裕はある。また,サバティカルを利用して海外(アメリカ)に来ていることもあり,アメリカの体育実践そのものや体育教師の語りに触れることができる。赴任先の教授ともその段取りを進めている。 一方で,日本の実践記録とそれをもとにした研究会において,教師の語りがどのように変容するのかを共同研究者とともに分析することが期待される。
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Causes of Carryover |
今年度は,進捗状況の欄にも書いたことであるが,特に私立大学の教員養成課程に携わる者は,2019年に向けた教員免許法の改正と再課程認定に向けた業務に大きなエフォートを割かなければならなかった。そのため秋以降に予定していた研究会や学会への参加を見送ることもあり,予算を計画通りに執行することはできなかった。次年度は,研究代表者がアメリカにいるため,日本での会議と合わせてアメリカでの会議も予定しており,本年度未使用分をその出張旅費に充てるつもりでいる。
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Research Products
(8 results)