2018 Fiscal Year Research-status Report
暑熱環境における高齢者の認知機能低下と脳血流量との関係
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17K01656
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Research Institution | Osaka Electro-Communication University |
Principal Investigator |
太田 暁美 大阪電気通信大学, 医療福祉工学部, 准教授 (70360732)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡崎 和伸 大阪市立大学, 都市健康・スポーツ研究センター, 教授 (70447754)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 暑熱ストレス / 加齢 / 脳血流速度 / 事象関連電位 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は「暑熱環境下において、高齢者では認知活動遂行中の脳血流の増加が抑制され、認知機能が低下する」という仮説を検証することである。2018年度は若年者と高齢者の横断研究を実施した。 若年者14名および高齢者14名を対象とした。測定は平常体温および軽度高体温の2条件で実施した。水循環スーツに34℃の水を流して平常体温条件での測定を行った後、循環水を45℃にした水循環スーツと、42℃の足浴によって食道温を1.0±0.1℃上昇させ、軽度高体温とした。両条件において、音刺激によるオドボール課題を実施し、事象関連電位のP300成分を分析した。また、食道温、皮膚温、頸部動脈の血流量、中大脳動脈血流速度、心拍数、血圧、温熱感覚および熱的快適性を測定した。 P300成分が得られた若年者11名、高齢者7名で分析を行った。食道温は受動加温によって、若年者、高齢者ともに、1.0±0.1℃上昇した。オドボール課題に対する反応時間は、若年者高齢者ともに軽度高体温時に短縮した (p<0.05)。P300の潜時は体温によって変化せず、また、年齢による影響も認められなかった。一方、P300成分の振幅には年齢と体温に有意な交互作用が認められ、軽度高体温時では、高齢者の振幅は若年者と比較して小さくなった (p<0.05)。 これらの結果から、高齢者では軽度な暑熱ストレスによって認知処理機能が低下する可能性が示された。中大脳動脈血流速度のデータが十分ではなく、認知機能低下と中大脳動脈血流量の変化との関連は明らかとはならなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
若年者と高齢者の横断実験を行い、次年度につながる成果が得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は高齢者において運動介入による縦断研究を行い、加齢と体力との関係を明らかにする。高齢者のTCDによる脳血流速度測定では、測定姿勢を調整し十分なデータが得られるようにする。
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Causes of Carryover |
2019年度始めに参加した国際学会の大会参加費について、2018年度分から支出予定としていたものが、2019年度分から支出すると変更されたため。該当学会参加費として使用する。
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