2017 Fiscal Year Research-status Report
シャッターゴーグルを用いた速球を見るトレーニングが動体視力と打撃に及ぼす効果
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17K01676
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Research Institution | National Institute of Fitness and Sports in Kanoya |
Principal Investigator |
前田 明 鹿屋体育大学, スポーツ生命科学系, 教授 (40264543)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | シャッターゴーグル / 動体視力 / 打撃パフォーマンス / スポーツパフォーマンス研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、シャッターゴーグルを用いた速球を見るトレーニングが動体視力と打撃に及ぼす効果を明らかにしようとした。シャッターゴーグルはメガネをかける要領で装着し、設定により一定の間隔でシャッターが切られることから、装着者は視界が遮られ見えにくくなっている。これまでの自身の研究で、超速球を見るトレーニングで動体視力が向上し打撃パフォーマンスが向上することを報告してきた。しかし超速球は危険を伴うことから、このシャッターゴーグルを利用することで、超速球でなくても速球を見るトレーニングが打撃パフォーマンスを向上させるのではと考えた。 本研究の実験参加者は、大学で硬式野球部に所属し、インフォームドコンセントが得られた大学野球選手24名で、シャッターゴーグルを装着して速球を見る群、シャッターゴーグルをつけずに速球を見る群、何もしない群に分けてトレーニングを進めた。シャッターゴーグルの遮断に関する負荷設定は、あらかじめ行った予備実験で決定した。トレーニングは週3回4週間にわたって行った。トレーニングの評価は、バントパフォーマンステスト、スポーツビジョン測定、内省報告とした。このうちバントパフォーマンステストは、先行研究を参考に、ピッチングマシンから向かってくる時速140kmの速度のボールをバントすることにより行い、その成功率をトレーニング前後で求めた。スポーツビジョンテストはKVA動体視力などの評価を行った。また内省報告は、トレーニング前後でボールの見え方に関する参加者の意見をまとめた。 その結果、トレーニング後のパフォーマンステストによるバントパフォーマンス成功率は、シャッターゴーグル装着群が最も高かったが、シャッターゴーグルを付けないで速球を見る群でもその効果は高かったことが明らかとなった。シャッターゴーグルの負荷を工夫することでその効果が変化するのではないかと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の予定では、1年目でシャッターゴーグルの負荷を決定するための実験に時間を要すると考えられていた。しかし予備実験で概ね効果がすぐに想定できたため、大学野球選手の理解を得て、3群に区分したトレーニング実験までを行うことができた。これは当初想定していたよりも明らかに進展しており、今回得たトレーニング実験の結果から、さらなる工夫をすることができる。 上記のことから明らかに、当初の計画以上に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究において、シャッターゴーグルの効果は明らかになっているが、アスリートの動体視力や見る能力とパフォーマンスとの関係により、適切な負荷がどのあたりにあるのかという問題は、難しい課題である。今後は異なる負荷での効果を確認することが必要であり、また実践現場において、どのようにトレーニングを定着していくか明らかにしていくことが必要である。
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Causes of Carryover |
今年度の研究計画は順調に進めることができた。今年度残った研究は、今年度に使用するよりも次年度行う研究計画にある、負荷が異なるトレーニングの効果において、必要経費が増える可能性があると考え、次年度の使用額に加えた。具体的には、実験対象者数を増やし、謝金に加えたいと考えている。
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