2020 Fiscal Year Research-status Report
a study on the body and health management policies in colonial Korea
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17K01677
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Research Institution | Sapporo University |
Principal Investigator |
金 誠 札幌大学, 地域共創学群, 教授 (40453245)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 植民地朝鮮 / 身体管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、これまで植民地下の朝鮮半島の農村部における健全娯楽の統制が、1940年代の総力戦体制期にもそのまま農村部の朝鮮人の身体の健全化を促すためのツールとして利用された点について分析し、次に志願兵らの身体が兵的動員へと結びつけられ、植民地権力側のプロパガンダとして利用された「朝鮮人志願兵の死」や「新羅武士道(花郎)」について史資料を収集し、実証的な分析を行ってきた。 こうした成果は2020年2月に「総力戦体制における人的資源としての朝鮮民衆―スポーツの否定と兵的動員の正当化へ―」民衆史研究第98号に掲載され、志願兵として朝鮮人最初の死を迎えた李仁錫について、また1930年代に日本の民俗学者らが明らかにした新羅武士道が総力戦体制期には朝鮮人を兵的動員へと結びつける言説として現れてきていることについて注目し、研究成果としてまとめた。 今年度は東アジア近代史学会で2020年10月に開催されたシンポジウム「スポーツと東アジアー国家/民族、民衆/大衆」のなかで「帝国日本のスポーツと民族の「融和」」と題して、朝鮮人アスリートの身体が統治の正当化を促す表象として扱われている点について説明を行った。さらに2021年2月に北海道大学で開催された「メディアと東アジア」研究会においては「つくられた英雄たちと総力戦」をテーマに志願兵の身体と朝鮮人アスリートの身体へと照射される支配者のまなざしについて言及し、本研究課題の成果として発表を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウィルスの拡大により、予定していた調査が遂行できず、研究が遅れてしまっている。そのため本研究課題の科研費使用に関して延長の申請を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度、研究調査を遂行可能であれば、国内での資料調査を行い、本研究課題のまとめを行っていく。東京と京都の国会図書館、また神戸の中央図書館(青丘文庫)での資料調査を実施する予定としている。 コロナ禍の状況が改善され、国外での調査が可能な場合は、韓国のソウル、釜山への調査を行う予定としている。 今年度は植民地朝鮮の労務動員に関わる身体管理について考察を深め、論文としてまとめていく。
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Causes of Carryover |
コロナウィルスの拡大により、研究調査の実施が不可能となり、当該年度の科研費使用ができなくなったため。
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Research Products
(2 results)