2017 Fiscal Year Research-status Report
Writing a Interdisciplinary and Transnational Sport History: Society and Physical Culture/Movement in the United States
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17K01694
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Research Institution | Musashi University |
Principal Investigator |
川島 浩平 武蔵大学, 人文学部, 教授 (60245446)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アメリカ合衆国 / 文化交流 / 歴史 / スポーツ / アメリカンフットボール / 概説 / 東京高等師範学校 / キリスト教青年会(YMCA) |
Outline of Annual Research Achievements |
まず「アメリカスポーツ通史」あるいは「アメリカスポーツ史概説」というカテゴリに該当する文献を、武蔵大学、テンプル大学日本校、さらには調査旅行として赴いたペンシルヴァニア州立大学(PSU)などの図書館で精査し、英語と邦語による先行研究を入手し講読した。PSUに籍を置くマーク・ダイレソン氏に会い、本研究の目的、方法論、進捗について相談し、助言を受けた。研究発表をおこなった北米スポーツ史学会では計画の遂行上不可欠の書籍を多数購入した。これらの先行研究の方法論や解釈の傾向を確認し、とくに英語文献の近著から最新の研究動向をつかむことができた。集めた情報を整理し、これをもとに本研究が目的とする通史記述をすこしずつ開始した。まだ下書きの段階だが、植民地時代から始め、19世紀初頭の時点までの下書きを蓄積した。これら準備は本プロジェクトの土台にあたる作業である。 さらに1年目の課題である日本におけるアメフトに関する先行文献を調査し入手した。これらの調査を通じて日本におけるアメフトの起源、発展、変容の過程、現在の日本スポーツ界における位置づけ、役割等を明らかにした。その成果を2018年度5月に開催される北米スポーツ史学会で発表するための原稿としてまとめた。こうして1年目の課題をおおむね達成した。 また研究成果を、本科研プロジェクト採択の内定以前に刊行が決定していた諸々のプロジェクト、丸善からの『アメリカ文化事典』の担当箇所、京都大学人文科学研究所主催のセミナーおよびシンポジウムでの報告と発表、アメリカ史学会での発表、The International Journal of the History of Sport誌掲載論文、一色出版から出版予定の共著原稿等としてまとめた。そのなかにはすでに刊行済みのものと、これから刊行されるものがある。これらは、本プロジェクトの広報を兼ねる作業である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
武蔵大学、テンプル大学日本校、テンプル大学本校、ペンシルヴァニア州立大学でのアーカイブスで予定通り調査をおこなった。アーカイブス(図書館)では書籍を講読あるいはオンライン検索でデジタル資料を講読した。重要な文献を購入した。加えて年度前半には、筑波大学、立教大学に赴き、それぞれの図書館・アーカイブスでの調査をおこなった。また関西大学、関西学院大学、同志社大学、日本大学の文書を武蔵大学の図書館を通して入手し、講読した。夏期の調査旅行では、シカゴ大学およびペンシルヴァニア州ピッツバーグ市のスポーツ博物館に足を運び、一次資料の講読および調査を行った。シカゴ大学では、貴重な一次資料として、日本人としてアメリカンフットボール導入のパイオニアの一人である岡部平太とシカゴ大学アスレチック・ディレクターであったエイモス・アロンゾ・スタッグによる往復書簡を入手することができた。 5月には北米スポーツ史学会で予定通り発表をおこなった。本研究の端緒を開く機会となり、申請書で述べた内容を提起し、その方向性、可能性についての示唆を得ることができた。 日本での調査では、とくにアメフトに関する調査を、夏から冬にかけておこなった。アメフト関連八団体・組織で調査を行う予定であったが、図書館・アーカイブスで入手できる資料で調査目的を達成する見通しが立ったため、関係者へのインタビューは不要であると判断した。 年度末にむけて、アメリカスポーツ史概説の下書きを書き進め、原稿を着実に蓄積した。他方、1年目の課題であるアメフト関係の調査結果を整理し、2018年5月に開かれる北米スポーツ史学会での発表原稿にまとめた。 調査の進捗は、武蔵大学のHPを通じて適宜広報した。
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Strategy for Future Research Activity |
図書館・アーカイブスでの調査を予定通り継続する。ペンシルヴァニア州立大学(PSU)、あるいは他の米国アーカイブスでの調査を夏または冬の休業期間に集中的におこなう予定である。29 年度を通じて明らかとなった不足分を補足する。ダイレソン氏および氏の人脈にある研究者との意見交換おこなう予定である。すでにその一人PSUのジェサミン・エイベル(Jessamyn Abel)氏とはメールで連絡をとりあっている。氏は東京での1940年、1964年、2020年の3回のオリンピック(非開催を含む)の比較調査プロジェクトを計画しており、氏との交流は本プロジェクトにも有意義であることが見込まれている。北米スポーツ史学会での発表を行なう予定である。29 年度におこなったアメフト関連の調査結果をまとめ、報告する予定である。アメフトの日本での受容を、これまでのように単発的・単線的な過程としてではなく、多重的かつ多様な過程として捉え直すことがその目的である。本発表は、アメリカ人の歴史理解に修正を迫るものとなるため、発表でのフィードバックを取り入れつつ、英語論文へと発展させることを目指したい。日本での調査、とくにバスケットボール関係の調査を、夏から冬にかけておこなう。アメフトに関しておこなった調査からの教訓を生かし、バスケットボール関係の調査を実施する。一次資料、二次資料の講読がその主たる作業となることが見込まれる。バスケットボール関係の調査の成果を日本スポーツ人類学会の年次大会での報告にまとめる予定である。インターネットでの調査報告を随時行う予定である。
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Remarks |
川島浩平「黒人身体能力 神話の起源」『潮』2017年12月号掲載 日経新聞2017年11月2日「第1部若者たちの新地平――潜在能力、データが照らす、あなたもボルト超え(ポスト平成の未来学)」としてインタビュー記事掲載
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