2019 Fiscal Year Research-status Report
Writing a Interdisciplinary and Transnational Sport History: Society and Physical Culture/Movement in the United States
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17K01694
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
川島 浩平 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 教授 (60245446)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | スポーツ史 / スポーツ人類学 / 野球 / ベースボール / 帝国日本 / 大日本体育協会 / バスケットボール / スポーツの伝播 |
Outline of Annual Research Achievements |
5年計画の3年目にあたる本年、年度末期は新型コロナウィルス禍により若干の計画変更を余儀なくされたものの、研究活動に大きな支障はなく、概ね順調に計画を遂行した1年だった。 2年目におこなったバスケットボール関係の調査を踏まえつつ、本年は野球関係の文献調査、とくに二次資料の収集と読み込みをおこなった。5月に赴いた米国アイダホ州ボイジーでの北米スポーツ史学会(NASSH)会場では、書籍コーナーにおいて最新の研究実績に直接触れて確かめることができた。こうして入手した情報に基づき、計画の遂行上不可欠の書籍を多数購入した。集めた情報を整理し、これをもとに本研究が目的とする通史記述のための準備を継続した。 さらに2年目の課題を継続し、3年目の課題への取り組みを開始した。2年目の課題の継続としては、整理した資料に基づいて日本におけるバスケットボールの導入を主題とする論文の草稿を作成した。 3年目の課題への取り組みとしては、主たるアーカイブスを新しい職場である早稲田大学図書館と国際日本文化研究センターとして調査を行った。その成果は、本プロジェクトの最終成果に発展的に取り込んでいきたい。またバスケットボール研究から派生しつつ、本プロジェクトと深いかかわりのある日本バスケットボール史を「ジェンダリング」の観点から読み直す試みに着手し、9月マカレスターカレッジでの講演で中間報告をおこない、その成果を2020年度5月に米国イリノイ州シカゴで開催される北米スポーツ史学会で発表するための原稿としてまとめた。こうして3年目の課題をおおむね達成した。 また研究成果を1冊の書籍(共著)および1本の論文にまとめつつ、2019年5月に開催された北米スポーツ史学会での発表、2019年8月に開催されたAAAでの発表を行った。また、本プロジェクトの観点から、6月に開催されたアメリカ学会セッションでのコメントを担当した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3年目の主要な課題は、1.5年間を通しての作業であるアメリカスポーツ史の通史記述をおこなうための調査と、2.3年目の特定作業である三大スポーツの一つ野球(ベースボールの日本のおける導入と普及に関する調査である。 まず1については、インターネットの主要販路や他学術的サイトでの調査で情報を入手し、オンライン、アーカイブス(図書館)にて閲覧可能な文書、複写可能な文書、購入すべき文書等をえり分け、適宜必要な支出をおこなった。文書は多読、精読の技法を使い分けながら情報を整理し、論文あるいは書籍として出版するための草稿にまとめた。 2については、早稲田大学、国際日本文化研究センターなど明治・大正期の野球の黎明期についての情報に詳しいアーカイブスでの調査をおこない、1とおなじ方法により情報を整理し、出版のための準備をすすめた。2019年の5月に開催された北米スポーツ史学会および8月に開催されたAAAでの発表後、3年目の野球に関する調査に着手しつつ、二次文献の整理を中心として本プロジェクトの最終成果に取り込むべき準備を重ねた。 2年目のバスケットボールに関する成果から派生したバスケットボール史のジェンダリングに関する調査を2020年5月の北米スポーツ史学会発表の原稿にまとめた。(しかし3月より新型コロナウィルス禍により、発表のキャンセルを余儀なくされた)。 調査の進捗は、HPを通じて適宜広報し、成果の一部を書籍の二章、論文一本として出版、または原稿を書き上げた。また広報の延長として、今後の共同研究や発表の機会を与えられた。その詳細は以下「今後の推進方策」に詳述するが、英語での共著プロジェクトの継続と北米スポーツ史学会でのシンポジウム発表計画の継続および新規事業の立ち上げ、共訳プロジェクトの完成、二冊の概説書(共著)の執筆、および本プロジェクトの最終成果発表にむけての出版社と交渉などである。
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Strategy for Future Research Activity |
図書館・アーカイブスでの調査を予定通り継続する。5年間を通しての作業としての通史記述、4年目の課題としてのこれまでの研究成果の整理と、通史プロジェクトへの接合も予定通り継続する。その上で以下にのべるような推進方策を具体的にとるものとする。 まずこれまで手掛けてきた研究成果を、アムステルダム大学スポーツ人類学者ニコ・ベズニエ著The Anthropology of Sport (University of California Press, 2018)の翻訳の出版および「あとがき・解説」の執筆へと発展させる。翻訳作業全体を通して、本プロジェクトを文化人類学、スポーツ人類学の観点から振り返る契機とする。 2020年5月に予定されている北米スポーツ史学会でおこなう発表(中止、2021年に延期予定)と、同学会50周年を記念するプロジェクトへのプロポーザルを作成・提出しつつ、3年目の研究成果をまとめ、さらに発展させる機会として活用する。2019年度から着手するジェラルド・ジェムズとの共著プロジェクトを本プロジェクトの課題を新たな観点から見直す契機とする。二つの概説書共著プロジェクトで通史プロジェクトの成果を反映させる。京都の国際日本文化研究センターでの共同研究への参画を通じて、バスケットボールのジェンダリングに関する研究をすすめる。
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