2019 Fiscal Year Research-status Report
昭和14-16年厚生省下での全日本スキー連盟による国民体力養成の実態解明
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17K01699
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Research Institution | Nihon Fukushi University |
Principal Investigator |
新井 博 日本福祉大学, スポーツ科学部, 教授 (10222720)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | スキー / 全日本スキー連盟 / 指導者講習会 / 戦時下 / 体力養成 / バッチテスト / 地方 / 管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
3年目(2019年)の研究目的は,昭和16年度に全日本スキー連盟が全国的に実施した国民的な体力養成のためのスキー講習会(バッチテストを含む)の開催と指導管理者講習会(11月)の開催に関する実態と意味に関して,地方のスキー連盟資料が所有する当該関連資料や当時の各府県の地方新聞等を調査して明らかにすることである. 太平洋戦争に突入する昭和16年の1-3月に,全日本スキー連盟が全国的に実施したスキー講習会に関する調査は,公表されたスキー連盟や新聞等の資料が全国的に少なく,残念ながら東北地方や北陸地方の資料を収集のみにとどまった.しかし,そこから次のことが判明した.当初,全日本スキー連盟は全国的に大衆スキーを進める新たなスキーテキストを作成し,それを使ってスキー講習会を行い,講習会終了後の確認バッチテストで,合格者を大衆スキーの指導者に任命して,スキーによる体力の養成のために各地方で独自に講習会を開催できるようにする計画であった. また,今回の少ない調査結果からでは,昭和16年に全国でどれほどのスキー講習会が実施されたのか,また,全国的にバッチテストの合格者が,どれほどの人数に上ったのか,現在のところ分からず,今後の研究の課題としなければならない. 一方,指導管理者講習会(11月) については,指導管理者講習会の開催当日に関する資料を収集できたにとどまっている.この会議では,全国の主要な樺太・北海道・東北・中部・関西のスキーの盛んな地域から責任者を集め,その後の戦時を控えて講習会を開催する場合の注意をまとめて,全国的に体力養成についての統制を図る目的であった. だが,昭和17年以降,太平洋戦争に突入し,指導管理者講習会も殆ど多くの地方で全国的に開催されずに,この講習会で代表に伝えた内容が,全国的な統制に効力を発揮したのかわからない.これらの内容も,今後の調査の課題として残った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
遅れている1つの理由は,当時スキー連盟が戦時下に入ると,全国的に競技中心(選手)から,新たに国民的体力養成(大衆スキー)に方策(講習会等)を転換して進ている. そのため,当初進めていた本研究に対して,研究計画には書かなかったが,昭和初期から既に実施されていた国民による大衆スキーの実態について調べることが必要となり,その解明に多くの時間をかけてしまっていたためである. 2つ目の理由は,随分時間を掛けて国会図書館等で調査したが,思いのほかスキー連盟や新聞におけるこの講習会に関する資料の掲載が少なく,調査に多くの時間がかかっていたことが挙げられる. 3つ目の理由は,「コロナウイルス」の影響で,今年に入り国会図書館などの公共或いは,私的研究機関が調査に十分利用できずに,思うように進んでいないことがある.
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Strategy for Future Research Activity |
4年目の研究の目的は,研究調査の結果をまとめて,2020年の春季に日本体育史学会,夏季に国際スポーツ史学会(ISHPES)や日本体育学会,冬季に日本スキー学会で成果を発表する.また,発表後,各学会誌(『体育史研究』“ISHPES”『体育学研究』『スキー研究』等)に投稿する予定であった. ところが,2020年は2月ころから「コロナウイルス」の世界的な感染が猛威を振るいパンデミック状態となり,政府は「非常事態宣言」を発している状況にある.そのために,2020年5月現在においても,国内・外の学会の開催が中止となっている状態である.今後,目的通りに研究成果の発表や論文作成を試みるつもりであるが,可能かどうか分からない状況である. 対策としては,欲張らずに可能な機会に論文にまとめることを心掛けていきたい.
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Causes of Carryover |
理由は,1-3月で資料収集と国際学会発表を行う予定であったが,コロナウイルスの影響で利用機関の閉鎖と海外渡航の禁止が告げられたことによる. 次年度の計画は,新たな資料収集と学会発表を計画して,実施したいと考えている.
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Research Products
(2 results)