2017 Fiscal Year Research-status Report
スポーツにおけるルーティーンの集中度の定性的解析とトレーニングツールの設計
Project/Area Number |
17K01709
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Research Institution | Ashikaga Institute of Technology |
Principal Investigator |
平石 広典 足利工業大学, 工学部, 准教授 (60343571)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 定性的解析 / ルーティーン / 集中度 / トレーニングツール / スポーツ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,生的体センサーを利用して,スポーツにおけるルーティーンの集中度の解析を行い,それに基づくルーティーンのトレーニングツールの設計と評価である.これまでに,簡易的な脳波センサーを利用して,普段は上下に激しく変動する集中度がルーティーンによって一定化するといった「集中度一定化現象」の発見に成功している.本研究では,その研究成果を発展させ,より多様な被験者での実験やタスクにおいて,眼球運動測定装置や心拍センサーなどによる多角的な解析を行うことでルーティーンの機能や効果を明らかにし,そして,それらを反映させたトレーニングツールの設計を行う. 本年度の目的は, 簡易型脳波センサー以外にも,いくつかの生体センサーを利用して多角的な解析を行うことであった.そのため,眼球運動測定装置と心拍センサー装置を利用した測定実験を実施した.眼球運動測定装置によって利用者の視線移動の状態や瞳孔の大きさを測定することが可能であり,心拍センサーによって心拍波形や心拍数,また,交感神経機能の指標となるL/Hのデータを計測できることを確認した. また,タスクとして,これまで行なっていたダーツに加えて,ドライビングにおけるルーティーンの解析として運転操作の解析を行った.これは,運転操作における潜在的なルーティーンや癖のようなものの発見につながる.座圧センサによる搭乗者の状態の解析や,脳波による集中度と運転動作の関係を解析した. そして,本年度の最大の実績は,定性的,かつ認知的解析とモデル化を実行できる解析ツールQCAMの開発に成功したことである.これは,実験におけるセンサーデータと実験状況を撮影した動画データを入力し,実験状況におけるデータの変化の状態を定量的かつ定性的に解析が可能であり,さらに,定性的なルールやモデルの作成をサポートすることが可能である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度の目的は, 簡易型脳波センサー以外にも,いくつかの生体センサーを利用して多角的な解析を行うことであった.そのため, 眼球運動測定装置や心拍センサー装置を利用し,測定実験を実施した.また,タスクとして,これまで行なっていたダーツに加えて,ドライビングにおけるルーティーンの解析を実施した. そして,本年度における最大の進捗は,定性的,かつ認知的解析とモデル化を実行できる解析ツールQCAMの開発に成功したことである.ルーティーンの解析を行うためには,センサーからのセンサーデータはもちろんであるが,得られたデータがどのような状況で発生したのかを理解するために,カメラによる映像データも同時に記録する.そのため,得られたセンサーデータと記録された映像データを,同時に確認しながら解析する必要がある.QCAMは,それらの解析をサポーツするツールである.解析の時間や手間を大幅に軽減するツールとなっており,今後の解析における大きな進捗である.
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Strategy for Future Research Activity |
ダーツとドライビングを対象としてルーティーンの解析を実施する.一般にルーティーンは個人毎に異なるものであり,予め適切なルーティーンを設定することは難しい.そのため,ダーツにおいては,本研究では予め何パターンかのルーティーンを設定しておき,被験者に,それぞれのルーティーンによって実際のタスクを実行してもらい,タスクの実行の結果から,その人に最もふさわしいルーティーンを選択する.この方法では,真にその人に適したルーティーンを発見することは難しいが,その個人に,より適したルーティーンを設定することは可能である.また,設定したルーティーンが,実際には,その人に最適なものてではない場合であっても,本研究の後半で実施するルーティーンのトレーニングの効果を測定するのには有効である. そして,計測したデータをQCAMを利用した解析を実行し,脳波,心拍,眼球運動の間の関係を表す定性モデルを構築する.そして,構築されたモデルの正当性や論理的な正しさを検証し,ルーティーンの機能や本質的な特性を明らかにする. また,ドライビングにおける操作に含まれるルーティーンの解析も実施し,運転操作や道路状況,また認知的な状態との関係を表す定性モデルを構築する.
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