2018 Fiscal Year Research-status Report
陸上競技短距離選手に対する高地/低酸素トレーニングの有用性の解明
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17K01711
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Research Institution | National Agency for the Advancement of Sports and Health |
Principal Investigator |
鈴木 康弘 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター, スポーツ研究部, 先任研究員 (00392697)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前村 公彦 筑波大学, 体育系, 准教授 (40454863)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 短期間低酸素トレーニング / スプリントトレーニング / 持久力トレーニング / 最大酸素借 / 最大酸素摂取量 |
Outline of Annual Research Achievements |
【背景】近年我々は、大学女子陸上競技400・800m選手を対象として、常圧低酸素環境において5日間の高強度トレーニングを実施することにより、最大無酸素性ランニングテストの最大パワーが有意に向上することを報告しているが、さらに短期間での低酸素トレーニングは効果的なのか否かは明らかではない。そこで本研究では、3日間の低酸素トレーニング合宿の効果について検討することを目的とした。 【方法】対象は400m走を専門とする日本代表女子陸上競技選手9名であった。低酸素トレーニングは、酸素濃度14.5%に設定した低酸素トレーニング室を用いて午前中にスプリントトレーニング、午後に持久性トレーニングを実施するものであり、3日間合計6回実施した。トレーニング前後にトレッドミルを用いて漸増負荷ランニングテストにより最大酸素摂取量(VO2max)を測定し、一定負荷ランニングテストにより最大酸素借(MAOD)を測定した。また、それぞれのテストにおける運動持続時間を運動パフォーマンスの指標として用いた。 【結果】運動パフォーマンスの指標として用いた、漸増負荷ランニングテスト及び一定負荷ランニングテストの運動持続時間はいずれテストにおいても有意(P < 0.05)に増加した。VO2maxは7名中4名が増加したがトレーニング前後で統計的に有意な変化は認められなかった。一方、MAODは7名中5名が増加し、トレーニング前後で統計的に有意に増加する傾向が認められた(P = 0.05)。 【まとめ】標高3000m相当に設定した常圧低酸素環境におけるスプリントトレーニングと持久性トレーニングを組み合わせた高強度トレーニングは、わずか3日間合計6回のトレーニングセッションで日本代表選手の無酸素性能力を改善させ、運動パフォーマンスを向上させる効率的かつ効果的なトレーニング法であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りにトレーニング実験を実施できているため。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度も同様に短期間の低酸素トレーニングが運動パフォーマンスおよび生理学的能力にどのような変化を生じさせるかに関して検討する予定である。
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Causes of Carryover |
当該年度の被験者が日本代表選手であり、被験者謝金が必要なかったため。 次年度は海外での研究成果発表を予定しており、その渡航費用および学会参加費に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)