2017 Fiscal Year Research-status Report
少年団-中学校運動部活動-地方競技団体の連携システム構築
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17K01712
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
加藤 敏弘 茨城大学, 人文社会科学部, 教授 (20185854)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | バスケットボールスクール / スペインバスケットボール協会 / コーチングフレームワーク / 運動部活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度に実施した調査は以下のとおりである。 1)茨城県バスケットボールスクール参加者への調査:茨城県バスケットボール協会主催のバスケットボールスクールにおいて参加者および保護者へのアンケート、ならびにスクール担当指導者への聞き取り調査を実施した。過去のデータとの比較検討を行ない発表する予定である。 2)中学校運動部活動顧問教員への調査:「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」がスポーツ庁から示されるとの情報を受けて、茨城県教育委員会と連携して、ICCEが提唱する新しいコーチングフレームワークを参考に作成したアンケートを中学校運動部活動顧問教員300人に実施した。有意差検定の結果、担当する運動種目の経験の有無、性別、保健体育教科担当であるかないかが、新たなコーチングフレームワークに則ったコーチングへの可能性に影響することが明らかになった。今後は、因子分析を行い全容を明らかにする。 3)スペインの育成システムの調査:スペインマドリッド州内の複数のクラブチームにおいて、育成年代のバスケットボール指導の実地調査、ならびに関係者へのインタビュー、スペインバスケットボール協会指導者養成担当者、マドリッド州バスケットボール協会競技運営担当者、審判養成担当者への聞き取り調査を行った。シーズン(10月~6月)中、10歳~17歳までのすべてのカテゴリーで最低30試合のリーグ戦をバスケットボール協会主催で毎週行うことによって、コーチも審判もプレイヤーも成長するようなシステムを構築していることが明らかになった。これは、スペインバスケットボール協会がその方針を決定し、各州にその運営を依頼していた。 4)平成24・25年度に茨城県バスケットボールスクールに参加したことのある高校生への調査を実施するため、その基本データ(進学先、部活動への参加の有無やその活動実績)の収集の準備に取り掛かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
過去の茨城県バスケットボールスクール参加者への追跡調査は、個人情報保護の観点から慎重に行う必要性があり、手続きを重視しているためデータ収集にまで至らず、その準備段階にとどまった。しかしながら、茨城県教育委員会の協力を得て、運動部活動顧問教員に対してアンケート調査を実施することができたことは、予想以上の成果であった。茨城県バスケットボールスクール参加者及びその保護者へのアンケートを実施することができたことやスペインバスケットボール協会とマドリッド州バスケットボール協会の協力を得て担当者へのインタビュー調査ができたことやマドリッド市内及び周辺のクラブチームの育成内容について詳細に現地調査をすることができたことは、当初の予定を上回る収穫であった。なお、当初予定していたリトアニアの現地調査は、通訳の都合が日程的に合わなかったため断念し、スペイン調査に専念した。
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Strategy for Future Research Activity |
①スペイン現地調査やこれまでのバスケットボールスクールの指導内容に対するアンケート調査結果を踏まえて、発育発達段階に応じた指導内容の精選と系統性を高めて、ミニバスケットボール・中学・高校指導者への研修内容を改善する。 ②過去の茨城県バスケットボールスクールへの参加者の基礎データを収集し、スクールの体験が普段の運動部活動や少年団の指導、体育授業にどのような影響を与えているのかをアンケート調査する。 ③オーストラリアバスケットボール協会では、学校とプロのスクール・クラブ、コミュニティクラブの全てを統括して指導者や審判のパスウェイを明確に示していることが過去の調査で明らかになっているが、その後さらに精度を高めているとの情報を得ており、さらに詳しい現地調査を行ない、スペインバスケットボール協会との違いについても調査する必要がある。 ④スペインでの現地調査において南米チリが育成システムを構築しつつあるとの情報を得た。現地調査の可能性を含め、資料収集を行う。
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Causes of Carryover |
平成29年度の茨城県バスケットボールスクール事業については、U12ユース事業との兼ね合いで、当初予定していた県内5地区での開催から1会場での開催となったことにより、映像撮影について補助員を必要としなくなった。また、スクール担当者の日当及び旅費については、平成31年度茨城県主催の国民体育大会に向けて、茨城県バスケットボール協会より支出されることになり支出しなかった。そのため、次年度使用額が生じた。 平成30年度はスクール参加者と指導者にアンケート調査を実施する。そのための費用とデータ入力補助を当初の予定どおり必要とする。また、バスケットボールコーチング並びに学習関連の図書・DVDを資料として当初の予定どおり購入する。新たに平成29年度海外調査で録画した育成年代の指導映像を編集するためのソフトと映像処理をするためのパソコンと補助員を必要とする。さらに、平成29年度の海外調査で得た情報に基づき新たな海外調査を実施することも検討している。
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