2018 Fiscal Year Research-status Report
競泳競技における高強度インターバルトレーニングの負荷特性の究明
Project/Area Number |
17K01714
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
仙石 泰雄 筑波大学, 体育系, 助教 (30375365)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下山 好充 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 教授 (20375364)
山川 啓介 日本女子体育大学, 体育学部, 講師 (60783785)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 手部流体力 / 推進効率 / ストローク頻度 |
Outline of Annual Research Achievements |
よくトレーニングされた男子競泳選手8名を対象に、3次元モーションキャプチャーシステムおよび手部の圧力分布測定法を用いて、ストローク頻度の上昇に伴い泳者が発揮する推進力および推進効率の変化を分析した。泳試技は、20m全力泳の際のストローク頻度を基準(100%試技)とし、全力泳より低い70%、80%、90%ストローク頻度の試技と、全力泳より高い110%、120%ストローク頻度を実施した。ストローク頻度の調節には電子音メトロノーム を使用した。本年度に実施した実験の結果、手部で発揮される1ストローク中の平均推進力は、70%から100%試技まで上昇するが、100%以上の試技においては手部速度が上昇しているのにも関わらず1ストローク中の平均推進力は増加しないことが観察された。この低下は、ストローク後半のプッシュ局面で発揮される推進力の低下が関与していることが明らかとなった。一方で、1ストローク中に発揮した総推進力は、70%試技から100%試技において変化は認められず、110%および120%試技において低下していくことが観察された。また、手部で発揮された総流体力に対する推進力の割合であるフルード効率は、全ての条件間で有意な差は認められず、ストローク頻度を上昇させても推進効率は変化しないことが明らかとなった。これらの結果から、1ストローク中により多くの推進力を発揮することを目指す際は低強度で泳ぐ必要があることが示唆された。しかしながら、ストローク頻度を超最大まで増加させた高強度領域で泳いだ際の泳効率が低下することはないことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度において泳速度の上昇に伴う泳動作の変化を分析し、本年度において推進力発揮の変化を明らかにした。2年間の研究結果より競泳競技における高強度インターバルトレーニングを実施する際に考慮すべきバイオメカニクス的特徴を明らかとすることに成功しており、本研究課題の目的の達成に向けて当初計画通り順調に進展していると言える。また、泳速度上昇に伴う筋活動解析の予備実験も重ね、次年度において本実験を行う準備が整っている。ただし、代謝応答の測定に関しては、使用する機材を変更したことにより、次年度において測定手順を再確認する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、クロール泳を対象に泳速度の上昇に伴う上肢筋活動の変化について分析する。特に、動員される各筋の協調性の変化に着目し、次年度の春より本実験を開始する。代謝応答の分析に関しては、新しく導入した水泳用呼気ガス分析器の使用法および測定手順を再度確認し、次年度の秋以降に実験を行えるように準備を進める。本年度までに収集したバイオメカニクス的知見に上記の運動生理学的情報を加え、競泳競技における高強度インターバルトレーニングの特性について更なる解明を進める。
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Causes of Carryover |
筋電図解析および代謝応答の分析データ解析を次年度に実施することにしたため、共同研究者との打ち合わせおよびデータ解析にかかる費用を次年度に使用することとなった。
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