2017 Fiscal Year Research-status Report
パラアスリートのスポーツキャリア発達における心理・社会的支援方略の構築
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17K01725
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
内田 若希 九州大学, 人間環境学研究院, 講師 (30458111)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | インクルージョン / キャリア発達 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、教育的・社会的インクルージョンの視座を取り入れつつ、パラアスリートのスポーツキャリアの段階に応じた心理・社会的支援方略の構築を目指すとともに、パラスポーツの振興に寄与することを企図するものである。平成29年度は、わが国のスポーツキャリアの発達に関連する心理・社会的要因の検討を目的とした。 応募者のこれまでの研究成果を踏まえつつ、本年度は教育的・社会的インクルージョンの先進国においてフィールドワークに従事し、障害者支援やダイバーシティ促進に関連する環境調査を行なった。スポーツを「する」「観る」という2つの視点から、我が国との社会環境にどのような差異があるのかを検討した。また国際パラリンピック委員会主催のVISTA会議と、それに先立ち開催されたMeeting of Paralympic Impact/ Legacy Working Groupに出席し、本研究の基礎となる資料収集にも従事した。とくに、①レガシーとして環境などのハード面を残すだけでなく、人材の育成とその活用(ソフト面)や、教育的・社会的インクルージョンの「文化の成熟」など次のステップを目指すことが必要であること、②スポーツの機会の欠如、スポーツ嫌いの子どもたち、アスリートの権利など見落とされている要因があること、③パラスポーツへの参加やそのあとの恩恵はなにかを見据える必要があること、④競技スポーツだけでなく健康へのインパクトはなにかを考えること、⑤心理・社会的視点からの研究の欠如などの考慮の必要性を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は、応募者のこれまでの研究成果を踏まえて、スポーツキャリアの段階ごとに心理・社会的資源および心理・社会的課題などを精査して調査に向けた項目を検討し、量的・質的調査を実施することを目的としていた。量的・質的調査の段階までには至らなかったが、論文精読による要因の精査や検討、および教育的・社会的インクルージョンの先進国においてフィールドワークを実施し、貴重な資料を得ることができたといえる。また、各関連学会やシンポジウムで発表を行ったりしたことから、概ね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、予定の一部を変更し、教育的・社会的インクルージョンやダイバーシティ研究のエキスパートであるKent State UniversityのDr. Takahiro Satoとの共同研究を実施する予定としている。そして、当該研究の先進国であるアメリカにおいて、スポーツキャリア発達における心理・社会的課題と支援の現状に関するフィールドワークを実施していく予定である。
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Causes of Carryover |
研究は概ね順調に進行しているが、インタビュー調査を次年度に繰り越したため、これに伴う経費を次年度に使用することとした。
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