2018 Fiscal Year Research-status Report
パラアスリートのスポーツキャリア発達における心理・社会的支援方略の構築
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17K01725
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
内田 若希 九州大学, 人間環境学研究院, 講師 (30458111)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | インクルージョン / キャリア発達 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、教育的・社会的インクルージョンの視座を取り入れつつ、パラアスリートのスポーツキャリアの段階に応じた心理・社会的支援方略の構築を目指すとともに、パラスポーツの振興に寄与することを企図するものである。平成30年度は、教育的・社会的インクルーションの先進国である英国における、スポーツキャリアの発達に関連する心理・社会的要因の検討を目的とした。具体的には、英国においてフィールドワークに従事し、障害者支援やダイバーシティ促進に関連する環境調査を行なった。特に、教育や市街地の環境整備などに関してフィールドワークによる資料収集を行った。また、European Congress of Adapted Physical Activityに出席し、本研究に有用な資料収集にも従事した。具体的には、①教育的・社会的インクルージョンには、その国の社会背景や文化的成熟度などが大きく関連するため、「この方法が正解」というものはなく、多様な人々、多様な社会に合わせて答えを見出すための絶え間ないコミュニケーションと努力が必要であるという提言を得た。また、②平等 (Equality) と公平 (Equity) に関する提言に関して、重要な資料収集を行うことができた。具体的な内容は、「人はいくつかの点において、(a) すべての人と似通っている(一般的に共通する特徴)、(b) 何人かの人と似通っている(何人かに共通の特徴)、(c) 他の人と同じではない(ユニークな特徴)」という視座がある中で、(c) の視点から捉えることで、一般論やある種のカテゴリー(性別、障害種など)で人間を語るのではなく、人間の本質を理解できるというものであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成30年度は、応募者のこれまでの研究成果を踏まえて、スポーツキャリアの段階ごとに心理・社会的資源および心理・社会的課題などを精査することを目的としていた。具体的には、予定の一部を変更し、教育的・社会的インクルージョンやダイバーシティ研究のエキスパートであるKent State UniversityのDr. Takahiro Satoとの共同研究を実施する予定であった。しかし、Dr. Satoとのスケジュールの調整の都合でやや遅れが出たため実施できなかったが、教育的・社会的インクルージョンの先進国である英国においてフィールドワークを実施し、貴重な資料を得ることができたといえる。また、各関連学会で発表を行ったりしたことから、やや遅れは見られるものの順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度は、平成30年度に実施できなかった教育的・社会的インクルージョンやダイバーシティ研究のエキスパートである筑波大学の佐藤貴弘先生(Kent State Universityより異動)との共同研究を推進する予定としている。そして、過去2年間のフィールドワーク調査とインタビュー調査の結果から、わが国の教育的・社会的インクルージョンの促進に資する、スポーツキャリアの段階に応じた充実した心理・社会的支援方略の構築を行う。
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Causes of Carryover |
研究は概ね順調に進行しているが、共同研究や成果発表を次年度に繰り越したため、これに伴う経費を次年度に使用することとした。具体的な使用計画としては、次年度にインタビュー調査を実施するために、調査旅費と謝金、データ分析の費用を計上する。また、成果発表のための旅費を計上する。
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