2018 Fiscal Year Research-status Report
An evaluation of tennis performance on ball speed and ball spin
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17K01727
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Research Institution | National Institute of Fitness and Sports in Kanoya |
Principal Investigator |
高橋 仁大 鹿屋体育大学, スポーツ・武道実践科学系, 准教授 (50295284)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 智仁 鹿屋体育大学, スポーツ人文・応用社会科学系, 准教授 (70325819)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | トラックマン / 打球速度 / 打球の回転数 / スコアブック / テニス |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は競技レベルによる打球速度と回転数に関する分析を行った.特に競技レベルによるサービスの打球速度と回転数の関係,また競技レベルによるグラウンドストロークの打球速度と回転数との関係について検討した. 競技レベルによるサービスの打球速度と回転数の関係について,学生選手を対象に検討した.14名の学生選手を上位群と下位群に分類し,ゲーム状況における1stサービスと2ndサービスの速度と回転数の関係について分析した.その結果,上位群は1stサービスの速度が有意に速く,2ndサービスの回転数が有意に多かった.2ndサービスが入った時の回転数において,上位群は下位群よりも有意に多くなっていた.これらの結果を考察すると,上位群に比べて下位群は速い速度や高い回転数を獲得するためのスイングスピードを発揮できていないために,打球自体が上位群に比べて劣っているといえる.また打球の分布を確認すると,下位群は回転にかかわらずエラーを犯しているといえ,「回転を用いたコントロール」という技術に劣っていると考えられる(Takahashi et al., 2018). 競技レベルによるグラウンドストロークの打球速度と回転数の関係についても,学生選手を対象に検討した.3名の学生選手によるゲームと実験状況を対象に,フォアハンドストロークの打球速度と回転数を分析した.その結果,打球状況をゲーム状況での攻撃場面と守備場面,および実験状況とに分類して比較した結果,選手によって速度と回転数の傾向が異なることが明らかとなった.強い打球による攻撃的なプレーを得意とする選手は,実験状況と同じようにゲーム状況でも打球できている可能性が示唆された.またこれらの比較を行うことにより,予測・判断の能力や戦術の成否,調子の良し悪しなどのゲーム状況における技術レベルを評価できる可能性が示唆された(村上ほか,2018).
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は,筆者ほかがこれまで研究を進めてきたテニスの電子スコアブック(髙橋ほか,2006;以下,スコアブックとする)を用いたパフォーマンス評価に,近年研究が進みつつある,テニスにおける打球の速度と回転数を基にした打球の評価を加えることで,打球の評価を基にプレーヤーのゲームパフォーマンスを評価しようとするものである.近年開発された新たな測定機器であるトラックマンテニスレーダーを用いることで,テニスのゲーム中の各打球のパラメータを数値化することが可能になった.この打球に関する数値と,筆者ほかがこれまで行ってきたテニスのパフォーマンス評価を合わせて用いることで,これまでよりも詳細かつ具体的なプレーヤーのパフォーマンス評価が可能となる. 平成30年度は競技レベルによる打球速度と回転数の関係について,サービスとフォアハンドストロークを対象に研究を進めた.その結果,競技レベルによる打球速度と回転数の傾向についての知見を得ることができた.スコアブックを用いたデータ収集については,計画の通りに進まない部分もあった.しかしながらトラックマンを用いて多様なレベルの打球データの測定を行えたことから,本研究は概ね順調に進展しているものと評価できる.次年度はトラックマンのデータと,新たに収集するスコアブックのデータを用いて両者の関係性を検討する予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は平成30年度までおおむね順調に進展していることから,研究最終年度となる令和元年度においても,これまでの研究計画に則り推進する予定である.具体的には,令和元年度は,ゲーム中の各打球の速度と回転数のデータとスコアブックから得られるゲーム中のデータとの関係性について検討する.プレーヤーの打球の評価とポイント取得の関連性,ポイントの最終結果との関連性,ゲーム全体の流れと打球データとの関連性など,多様な視点からプレーヤーのパフォーマンス評価につながる方法を導き出すことを目指す.実際のゲームにおいては,プレーヤーは試合の状況に応じて速度と回転数を柔軟に調整しながら打球していると考えられる.そういった調整がどのような場面で,どのような調整の仕方で現れると,得点に貢献するのかを明らかにすることを目指す.スコアブックによる試合の流れの評価とトラックマンによる打球の評価を組み合わせ,ゲーム全体の流れと打球データとの関連性を明らかにする.
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Causes of Carryover |
平成29年度に,様々な競技レベル群のトラックマンを用いた実際のゲームにおけるデータ収集ならびに,スコアブックによるデータ収集およびゲーム映像の収集を行う予定であった.しかし昨年度も報告した通り,トラックマンによるデータ収集はほぼ予定通りに進んだものの,ゲーム映像の収集については,大会主催者側の都合やコートのレイアウトなどの環境的要因により,映像収集が不可能な状況もあったため,データ収集ができたのは一部にとどまった.平成30年度に上記の環境的要因に対応できる会場にてトラックマンによるデータ収集とゲーム映像の収集を並行して行い,データ処理を進める予定であった.結果として,トラックマンによるデータ収集とゲーム映像の収集を行うことはできたが,データ処理まで進めることはできなかった.該当の予算を令和元年度に繰り越し,平成30年度に得られたデータの処理を進めることとする.
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