2020 Fiscal Year Annual Research Report
Sexual harassment in the sports environment: examining the factors that determine the perception
| Project/Area Number |
17K01729
|
|---|
| Research Institution | Osaka Prefecture University |
|---|
Principal Investigator |
熊安 貴美江 大阪府立大学, 高等教育推進機構, 准教授 (90161710)
|
|---|
| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高峰 修 明治大学, 政治経済学部, 専任教授 (10409493)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
| Keywords | スポーツ / セクシュアル・ハラスメント / 認識要因 / 因果関係 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、スポーツ環境におけるセクシュアル・ハラスメント（以下、セクハラ）認識を明らかにし、それに影響を与える要因を検討することである。ジェンダー観や性的マイノリティへの意識、自尊感情、スポーツ観やスポーツへの志向、集団的権威に対する価値観などを要因として想定し、スポーツ関係者（指導者、競技者、愛好者）を対象にWeb調査を実施した。
最終年度は、スポーツ競技者に対する調査を実施し、全対象者のデータをまとめた上で分析をおこなった。因果モデルに基づいた分析を行うに先立ち、因果モデルに用いる各要因の回答分布や要因としての信頼性、妥当性等について検討した。次に、スポーツ関係者のセクハラ認識を明らかにし、関連しうる諸要因について、対象グループや性自認との関連を分析した。最後に、スポーツ環境におけるスポーツ関係者のセクハラ認識に影響を与える要因について、その因果モデルを検討した。
セクハラ認識に対しては、「スポーツ環境認識」と「自尊感情」以外の3変数：「権威主義的伝統主義」と「ジェンダー平等観」、「同性愛親和度」が影響することがわかったが、本モデルの説明力は、全体として高いとはいえなかった。愛好者は他の2群に比べて相対的にモデルの説明力が高いが、指導者と競技者は、このモデルではセクハラ認識をあまりよく説明できなかった。その理由として、指導者や競技者など、スポーツに深く関わる人たちに特有の「セクハラ認識」形成要因が 何か他にあることが想定された。
セクハラ認識に影響を与える要因を明らかにすることで、スポーツ環境下で共有されている人権意識を問い直す契機となり、また具体的な防止対策に新しいエビデンスを加えることができる。さらにスポーツ環境における継続的な調査自体が、スポーツ関係者に対する不断の意識啓発にもつながり、スポーツ環境において後景化しがちなセクハラ問題の可視化にもつながりうる。
|
