2017 Fiscal Year Research-status Report
ドイツにおける移民の社会統合の促進とスポーツクラブの役割
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17K01733
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
黒須 充 順天堂大学, スポーツ健康科学研究科, 教授 (50170121)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 社会的統合 / ドイツのスポーツクラブ |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究実績の概要】 2018年3月19日から24日の4泊6日の日程で、SSC大泉の茨田理事長と共にドイツ中西部に位置するライン・ノイス郡(人口44万人)を訪問した。まず、ライン・ノイス郡内にある約350の地域スポーツクラブに対して様々な指導・助言を行っているスポーツ相談課長のアクセル・ベッカー氏に移民の社会的統合とスポーツクラブの役割についてヒアリングを行ったところ、近年の国際化を背景として、他国からの移民を社会に統合するという点でスポーツクラブの果たす役割が益々重要になっていること、ドイツのスポーツクラブでは、全会員の10%に当たる約280万人の移民的背景を持っている人々を会員として抱えていることが明らかになった。次に、実際に移民の受け入れを積極的に行っているグレーベンブロイヒ市にある「ヤン・カペレン体操クラブ」や「オルケン体操クラブ」、コルシェンブロイヒ市にある「シニア世代体操クラブ」、ユッヘン町にある「ロートヴァイス・ギーラス体操クラブ」、ドルマーゲン市にある「TSV バイヤードルマーゲン」の5つのスポーツクラブを訪問し、理事の方々と地域スポーツクラブの果たす社会的統合の役割と機能について様々な意見交換を行った。その結果、スポーツクラブにおけるスポーツ活動の場が、移民同士または移民と地元住民の会話の場となったり、犯罪等の地域が抱える問題を緩和するきっかけとなったり、相互の文化に対する理解を深める機会や母国から離れて暮らす移民の帰属意識を回帰させる機会になるなど、さまざまな側面において移民同士や移民と地元住民の間に効果をもたらしているという興味深いコメントを聞き出すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度末、調査対象地であるライン・ノイス郡を訪問し、スポーツ相談課長のアクセル・ベッカー氏(Axel Becker)、ヤン・カペレン体操クラブのクラウス・カルヴィス会長(Klaus Calvis)とアクセル シュルター副会長(Axel Schlueter)、オルケン体操クラブのハインツ・ペーター・コルテ会長(Heinz-Peter Korte)、コルシェンブロイヒ・シニア世代体操クラブのホルスト・リップハーン理事長(Horst Ripphahn)、ロートヴァイス・ギーラスクラブのサンドラ・コーグリン理事長(Sandra Koglin)、そしてTSV バイヤードルマーゲンのアクセル・ベルツ理事(Axel Wertz)等にインタビュー調査を実施することができた。その結果、移民大国ドイツの社会統合の促進に地域スポーツクラブが大きな役割を及ぼしていることが明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
【今後の研究の推進方策】 平成30年度は、ライン・ノイス郡のスポーツクラブを対象にオンライン・アンケート調査(平成30年8月末から9月初旬)を行う予定である。主な質問内容は、クラブの概要(設立年、会員数、、種目数等)、会員に占める移民的背景を持った人々の割合、ボランティアに従事する移民的背景を持った人々の割合、移民的背景を持った人々を受け入れるための特別なプログラム実施の有無、スポーツクラブにおける移民の当配分、会員に占める移民の割合の高いクラブと低いクラブが抱える問題、スポーツ施設の利用状況、財務状況、 諸機関との連携・協力、国際交流、スポーツ指導者と運営スタッフ(有給・無給)、 クラブの支援活動に対する満足度と重要度、今後の課題と展望、そしてフェースシート等である。
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Causes of Carryover |
海外格安航空券(旅費)を購入することができたため。
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