2017 Fiscal Year Research-status Report
スポーツ障害の動作解析とスポーツ履歴調査による発症因子の解明と予防・治療への試み
Project/Area Number |
17K01750
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
小原 和宏 旭川医科大学, 医学部, 助教 (40548749)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 動作解析 / スポーツ障害 / 膝蓋腱炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
スポーツ障害の一つである膝蓋腱炎は一般的に体重・性別・床の材質・スポーツ暴露時間などが発症に至る危険因子とされている.しかし同様の条件の選手が全員発症に至るわけではない.我々は膝蓋腱内側に圧痛のある選手を動力学的に解析することにより,膝関節内反モーメントが膝蓋腱内側へ偏った張力を生じさせ炎症を引き起こすというメカニズムを考えた.しかし,症例に出会うことが出来ずデータを取得出来ていない膝蓋腱の中間・外側に発症した膝蓋腱炎に関しては動力学的な特徴を捉えることは出来ていなかった.そこで,症例数を増やし膝蓋腱炎の発症部位と動力学的関係.並びにスポーツ履歴調査から膝蓋腱炎発症に至る因子を解明するのが,本研究の目的である. 初年度は膝蓋腱炎群15例 健常群25例のデータを取得出来た.1例の膝蓋腱の中間に圧痛のある選手を除いて残りの全ては内側に存在していた.動力学的解析では,我々の先行研究と同様の特徴を呈していた. スポーツ履歴調査においてはまだ被検者数が多くはなく,また,一つのスポーツ団体から10名程度のデータをとることもあるため,データが偏っている可能性がある.よって慎重にデータを整理していく必要がある.健常被検者群を追跡中に1例が膝蓋腱炎を発症した.発症前の動力学的解析では,膝関節は内反モーメントを呈していた.スポーツの所属団体が変更となり,運動環境が変化したため発症した可能性がある.練習時間の増加と所属団体から求められる競技力の高さから多くの練習をこなした可能性が高い. 以上から動力学的因子だけではなく環境的な因子も影響することで発症に至る可能性が高いと考えている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当施設にある床反力計に不具合が発生し一時的にデータ取得が困難となった.しかし年度末に新たな床反力計が設置されたため研究を再開している.他施設で18例の動力学的データを取得したが,後日機器の初期設定ミスが報告されたため,データに信憑性がなく無効ととなってしまった.以上より症例数を獲得できなかったことが遅れている理由となっている.
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Strategy for Future Research Activity |
膝蓋腱炎の被検者を積極的に獲得する必要がある.積極的にスポーツ現場に行き選手たちを診察する予定である.学校単位で部活動の選手たちに声をかけるなど被検者獲得に向けて対応していく.近いうちにハイスピードカメラとの同期が可能になる予定である.
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Causes of Carryover |
床反力計の不具合によりデータ取得が困難な時期があり,追加する機器の選定・購入に戸惑う状況であった.しかし新たな床反力計が設置されたことにより研究は無事再開されている.新年度に繰り越し機器設置を積極的に行う.
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