2017 Fiscal Year Research-status Report
Effects of head during collisions in American football using new technique with strain gauge and accelerometer
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17K01752
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
福田 崇 筑波大学, 体育系, 助教 (30375472)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | アメリカンフットボール / 頭部作用 / 直線加速度 / 角加速度 / 脳振盪 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度には以下の2つ課題を実施する。 1. 加速度計による衝突時の加速度情報、累積度数、場所、大きさをリアルタイムで確認2. ひずみゲージによる衝突時の異なる接触位置における頭部自体への作用を確認 平成29年度の研究目的は、「加速度計による衝突時の加速度情報(直線加速度、角加速度、角速度)、累積度数、場所、大きさ、HICをリアルタイムで確認」することである。そこで、我々は加速度計とジャイロセンサから構成される6軸センサ(i1 Biometrics Inc)を配置したマウスガードを用いて、実際の衝突時における直線加速度、角加速度、角速度、衝突の累積度数、衝突場所、HICをリアルタイムで確認した。 また、同手法を用いて高校アメリカンフットボール選手においても現在、測定を開始している。 今後、得られたデータをポジション別や頭部衝突部位別に分類して詳細に解析する予定である。それら結果より様々なレベルや年代での平均的な頭部衝突作用(頻度・大きさ)を知ることができる。また、脳振盪を生じた選手のデータを蓄積することによって脳振盪危険域値の算定を行う。しかし、脳振盪危険域値の算出には脳振盪を生じたデータを含む膨大なデータを要するために、この測定を長期間にわたって実施することは大変重要である。さらに、ある程度の大きさや頻度の頭部作用を受けた選手にはサイドライン評価を行うなど現場における具体的な安全対策の指針を構築する。現在、あらゆる競技において脳振盪は最も注目すべき問題であるが、このような具体的指針を示して安全対策を実施している競技はいまだにない。アメリカンフットボールのみではなく、あらゆる競技が安全に発展していくことはスポーツ界にとっても重要であり、本研究の意義は大きいと思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の研究課題として、「加速度計による衝突時の頭部直線加速度、角加速度、衝突累積度数、衝突場所の膨大なデータを収集した結果よりヘルメットへの作用を検証する。」ことを挙げた。 そこで、大学アメリカンフットボール選手49名を対象に、2017年4月22日から2017年12月3日までの計126日間で頭部衝突測定を実施した。測定方法は、試合時と練習時に、対象はマウスガードを通常通り口腔内に装着してプレーを行う。マウスガードが頭部衝突を感知すると専用の受信機を通してパソコンのアプリケーションに頭部衝突データが記録される。その結果、頭部衝突総数は17,221回(試合時2,878回、練習時13,552回)であった。試合時と練習時における頭部衝突時の平均最大直線加速度および平均最大角加速度はそれぞれ22.61±3.72、1651.04±1229.66 rad/s*2と21.98±2.82G、1613.50±1170.94 rad/s*2であった。 また、同手法を用いて高校アメリカンフットボール選手においても現在、測定を開始している。今後、これらデータを解析していく。平成29年度課題においては、最も困難を伴うフィールドでの測定を終えている。したがって、平成29年度の進捗状況は概ね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度も大学アメリカンフットボール選手を対象に加速度計を用いた頭部作用データの収集を引き続き行う。現在、加速度計によるデータ収集は約50%が欠損している。理由として、加速度センサの故障やソフトウェアの不具合が挙げられる。対応策として、米国i1 Biometrics Inc.とスカイプやメールでの連携を定期的に実施していく。 しかし、加速度計による頭部衝突時の頭部作用では、ヘルメット内部のインナーパッドの緩衝作用によって頭部自体にどの程度の作用が働いているか明らかではない。そこで我々は、頭部自体にかかる作用を推定するために、ひずみゲージを用いた新たな手法を提案しており、頭部作用力応答を推定するデジタルフィルタを構築している。しかし、このデジタルフィルタは頭頂部の1箇所のみから得られたデータで構築されており、複雑なヘルメット形状に対応する精度の高いデジタルフィルタの構築にはヘルメットの複数部位における衝突実験を行う必要がある。そこで、平成30年度には複数のひずみケージを装着した測定用ヘルメットをフォースプレート上に設置し、落下用ヘルメットを測定用ヘルメットの上から落下させて、複数の衝突部位での頭部作用を測定する。より精度の高い頭部への作用を知るために、3Dプリンターによる模擬頭部の作成を行い、課題である個々の頭部形状の違いに対応する。さらに、ヘルメット内のインナーパッドに圧力計を装着してインナーパッドにかかる作用(緩衝力)を確認する。頭部自体への作用を確認した報告は国内外でなく、衝突時に頭部のどの位置にどの程度の力が作用するか知ることは、AFにおける脳振盪の解明には不可欠である。最終的に、加速度とひずみゲージによる頭部作用の関係性を検討していく予定である。
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Causes of Carryover |
平成29年度にデータ解析用PCを購入予定であったが、測定機器の費用が不確定であったために次年度に繰り越すこととした。
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